●心の中にイメージしたものを・・・。制作の秘密です!
─── ダーハンさんの作品の優しくて可愛らしい絵に惹かれているファンの方がとても多いと思うのですが、中でも夜を表わす深い青、きらめくお月さまやお星様の黄色、大切な人の温かさを感じる赤・・・などなど色の持つ力をとても効果的に美しく表現されている様に感じます。「色」に対するこだわりなどがございましたら教えて頂けますか?
色はリアルに感情を表現することができます。薄くしたり、軽くしたり、強くしたり、深くしたりすることによってです。こだわりとか、ポリシーとかはないのです。気持ちのままに色を選んでいるに過ぎません。色は頭でではなく、心が自然と選び出していくのです。私の絵を好んでくれる読者は、きっと同じような感情を共有してくれているのだと思います。感情は、国や言語を超えて、共感できるものなのです。
「アンドレ・ダーハンの色彩連合(あるいは同盟?)」とでも言えますか?(笑)
─── だれかを想う気持ちを優しく丁寧に描かれている作品の数々。制作を通して大切にされているメッセージや想いなどを教えて頂けますか?
私は自分が心の中にイメージしているものを、そのまま、紙の上に取り出せるように、慎重に、慎重に描いているのです。そして、表現されたものが、エレガントでクリエイティヴであるように、細心の注意を払います。それはいつもかんたんにいくとは限りません。でも、そうありたいと願い、いつも挑戦しています。75歳になっても、まだ達していない境地があるのではないかと、私は思っています。私は、自分自身ですらまだ知らないレベルに到達できるのでないかと、期待しているのです!
『ディディ』
●絵本をつくる喜び
─── 絵本を制作されている時、どんな瞬間が一番楽しいと感じられますか?
最初のページ決まると、あとは自然とストーリーが進んでいきます。次から次へと流れるようにイメージが連なって生まれてくるのです。そして、いつのまにか、自分自身が美のディレクターとして、ページの中に入り込んでしまっているのに気づくのです。このとき、私はとても興奮しています。そうしてページの中に入ったまま、最後のページまで、表現を自在に操りながら、進んでいくのです。
─── 絵本作家になって良かったと思われるのは、どんな時でしょうか?
サイン会などに読者が訪ねてきてくれたり、手紙をくれたりして、私の本に満足したという感想に接するとき、私はとても幸せを感じます。私にとって読者の感想はとても大切なのです。出版社が私の新しい作品を出版したいと言ってくれるのは、そのような読者が大勢いるからにほかなりません。そういう事実を知るとき、私は、絵本作家になってほんとうに幸せだと思うのです。
─── 例えばダーハンさんの絵本を親子で読んでいると、子どもは物語にワクワクし、親は穏やかで優しい気持ちになっている事を感じます。御自身の絵本を通して子ども達にどんな時間を過ごして欲しいと思われていますか?
私は、自分が読者の家のどこかに隠れて、その家の両親が子どもに私の本を読んで聞かせているのを聞いてみたいものだと、よく思います。そのとき、私は自分の本を再発見すると思うのです。その子の魅了された表情、続きを聞きたいという表情を見られたら、どんなにすばらしいでしょう。そしてそれが他国の言語であれば、いっそう興味がかきたてられるでしょう。
愛する人といっしょにいることは、楽しく心安らぐ時間であるというわたしのメッセージを、両親から絵本を読んでもらえる子どもたちは、もう受け取っているわけです。
そのこと自体が私の願いであり、喜びでもあります。
─── 最後に日本の読者の方へ一言メッセージを頂けますか?
みなさんのことが大好きですよ!
ありがとうございました。
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