「しんでくれた」。このドキッとするタイトルの絵本は、谷川俊太郎さんの詩から生まれた作品です。 うし しんでくれた ぼくのために そいではんばーぐになった ありがとう うし そう、これは死に対してただ悲しんだり切ない気持ちになったりする、という内容のものではありません。 生き物は生き物を食べてなければ生きてはいけない。人間は他の生き物のおかげで生きている。 「いただきます」という感謝の気持ちが生まれる詩なのです。
普段、食事の時間になるとテーブルに並ぶさまざまな料理。 食べればぼくたちは元気になり、成長し、生きる力がわいてきます。 牛だけでなく、豚や鳥、魚もぼくのためにしんでくれているのです。 だからといって、ぼくは彼らのためにしんでやることはできない。 だれもぼくを食べる必要がないから。 だからこそ・・・・。
力強く描かれた生き物たち、美味しそうに描かれたハンバーグ。そして幸せそうな表情のぼく。 知らなければ気がつかなかったかもしれない。でも、やっぱり大切な事実は伝えた方がいいし、子どもたちもこう思うはず。 「ぼくを輝かせてくれてありがとう。そしていただきます。」
シンプルでわかりやすい言葉の中につまった、生きることへのエネルギー。 ぜひ声に出して読んで、その力を感じてみてください。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「うし/しんでくれた/そいではんばーぐになった/ありがとう うし」。谷川俊太郎氏の詩が絵本になりました。心に深くとどく言葉と、力強い絵で「命をいただく」ことの意味を伝えます。声に出して読めば、生きる力が湧く一冊。
私たちはたくさんの命をいただいて生きています。
タイトルがストレートなので、少々ドキドキしながら手に取ったのですが、
絵も可愛らしくどぎつくはないことに安心しました。
内容は詩なので、すんなり心に響いてくる気がします。
私は感受性豊かな子供のうちから、この本を知ってほしいと思いました。
「食べる」という行為から生まれる、人間の残酷さ、命の尊さ、生きていくということ、など。
私たちはそうでしか生きていけないのです。
ストレートな表現に過敏になってしまうのは、いろいろな知識を身に着けてしまった大人だから。
この本を通して食事について改めて考える機会をいただきました。
子供たちへの食事のマナーを教えるにもいいのかもしれません。
命をいただくことへの感謝を知れば、自ずと食べ物を大切にしてくれるのではないかな、と思います。 (ちょびこさん 30代・ママ 男の子6歳、女の子5歳)
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