雑木林ってなんだろう。 雑木林とは、人の手によって同じ木が植えられた場所のこと。
良い炭やまきをとるためにクヌギやコナラを植林した薪炭林や、スギやヒノキ林など建築材料として植林されているもの、景観や生活用品に使われている竹林や防雪林など、いろいろな雑木林が日本にはあります。一年の四季を通して、雑木林のまわりでおきている生命のドラマと人との関わりにハッとさせられる絵本です。
今作でも、作者の向田智也さんの『田んぼの一年』に登場した見開き一面に描かれたパノラマビューで、1月から12月まで、月ごとの雑木林のお仕事の内容と生態系が丁寧に描かれています。タテにスパッと切った断面図では、地上と地下で起きている出来事を同時に見ることができます。これは前作と同様、絵本ならでは!
木の水分が減る冬が伐採の季節。そこから雑木林の一年がスタート。 地上で、切り倒したクヌギの木を丸太にしている頃、地下では冬を乗り越えるため生き物たちがみな各々過ごしています。ページをめくるたびに四季が巡り、雑木林が姿を変えていく様は日本の1年を旅しているような気持ちにさせてくれるのです。今回も絵本にたくさんの昆虫、鳥や草花が登場します。中には見たこともない生き物もたくさん! 樹液に集まる昆虫たちは、昼と夜でメンバーが違うのも面白いですよ。
巻末には、雑木林の作業やクヌギの一生についての丁寧な解説のページや、雑木林の言葉辞典、生き物インデックスなども付いています。向田さんの経験で描かれた雑木林の絵本。 夏休みに昆虫採集で雑木林に出かける前に、是非絵本を読んで体験してほしい1冊です。 きっとワクワクする発見や気づきが身近なものになるはず!
(富田直美 絵本ナビ編集部)
雑木林は、人がつくる生き物の宝庫だ! 「人と自然のつながり」をテーマに、生き物を描き続ける著者。昨年3月に発売した自身初の絵本『田んぼの一年』に続く、第2弾の登場です。 この本は、『田んぼの一年』と同様、雑木林を定点観測し、それぞれの時期に現れる生き物や人々のようすを、歳時記のように、紹介します。またその時期のトピックを、「かわら版」と銘打ち紹介します。著者の自然に対する愛情の大きさが、あたたかいながらも視点の鋭いイラストに現れています。 全体の構成は、パノラマ絵本+生き物図鑑+林の文化 です。 雑木林を1年間定点観測し、各月の雑木林の作業や、林内に出てくる生き物、地下で育つ幼虫、そして奥の民家のまわりで繰り広げられる人間のドラマが、ひとつのイラストの中に展開されます。 また、各月のトピックを、パノラマ絵本の欄外に「かわら版」として紹介。巻末には、雑木林の文化や仕事カレンダー、クヌギの一生、など資料的情報も満載し、見て楽しい生き物インデックスも掲載しました。
先日、向田さんの「田んぼの一年」を読んですごくよかったので、この本を探してきました。
同じタイトルで福音館書店の作品もありますが、こちらはまた別の目線で楽しめる雑木林の本になってます。
「シイタケ農家(?)」の田中さん(たぶん仮名)の一年間の仕事の流れを取り上げながら、その「シイタケ」を育てるための雑木林での一年の動き、雑木林に生息している虫や鳥たちの生活などを各ページで上手にテーマ性をもって解説してくれています。
絵もとてもきれいで見やすく色々な角度から見ることができるので、気に入ったページをずーと見たり、
「田んぼ」の時と同じように、1つのカメラ目線でとらえた風景を1年間見せてくれていいるので、その移り変わりをページごとに見て楽しんだりできます。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子21歳、女の子16歳)
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