深い雪におおわれた北国の山。ひさしぶりに雪がやんで、すみきった空に冷たく光る月が浮かびます。 しんとした夜の中、一羽のしまふくろうが木のうろから、森の様子をうかがう姿が描かれます。 次へページをめくると、大きく羽根を広げたしまふくろうが飛んだ! 森の上を飛び、凍った川の上を飛んで、えものを探すしまふくろう。 おなかをすかせたしまふくろうは、えぞまつの枯れ木でしばし羽根を休めます。 かすかな音に耳をすませ、えものを探します……。
黒い闇と月、雪をかぶった青白い森。ダイナミックな構図でしまふくろうが音もなく飛ぶ姿が、鳥肌がたつほど美しい絵本です。 雪原を走るえもの。つかまえようと飛ぶしまふくろう。 えものの背に、しまふくろうの影が迫り、今にもそのするどい爪でつかまえようとする瞬間、しまふくろうは思いがけない声を聞いて、えものをつかまえることをやめます。 その声とは……?
手島圭三郎さんは北海道生まれの版画絵本作家。『しまふくろうのみずうみ』で絵本にっぽん賞を受賞しています。 美しい版画絵本を多数出版していますが、それぞれ一冊につき70枚もの版木を彫り上げるのだそうです。 本書の最後には「原始への共感」と題したあとがきで、しまふくろうへの作者の思いが綴られています。 しまふくろうは、つばさを広げると180センチ以上にもなり、世界最大のふくろうと言われます。日本には北海道にしか生息しておらず、しかも百羽くらいと言われ、絶滅の危機にあるのだそうです。
一本一本の毛並みまで、精魂込めて彫られたであろう、しまふくろうの姿は躍動感に満ちています。 しまふくろうの原始的な美しさ、力強さ。雪が青白く光る夜の森を飛び、えものを追いつめ、そして……。 本書『しまふくろうとふゆのつき』では、えものをとらえるところは描かれていませんが、愛するつがいへ戻るあたたかい場面も描かれます。 ぜひ『しまふくろうのみずうみ』とあわせてご覧になってください。 しんとした夜から明け方の森の中、大自然の息づかいが伝わってくる素晴らしい版画絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
厳しいふゆの北海道で、おなかをすかせたしまふくろうは、獲物を求めて森を飛びつづけています。やっと、獲物を追いつめた時、ぼぼっ、ぼぼっ、しまふくろうは自分を呼んでいる声を聞きます。 大自然の神秘と原始への憧れを描いた大迫力の木版画絵本。
寒い冬に生きるしまふくろうの生きる姿、森の動物たちの生きる姿が、生き生きと描かれていて驚きです。迫力もあってすごくインパクトがあり、大自然の厳しさなどを感じることができます。子供たちに読んであげたい1冊です。 (ピンクちゃんさん 40代・ママ 女の子14歳、男の子7歳)
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