スムートは、男の子のかげ。歯をみがくのも、絵を描くのもいっしょ。 男の子はあまり笑わないし、とんだりはねたり、いたずらもしない。 スムートはつまらない毎日にずっと退屈していました。
ところがある日、スムートのからだが男の子からはなれた! やりたかったことをやるチャンス!とばかりに飛び出したスムート。 長縄跳びに飛び入りしたり、木登りしたり、メリーゴーランドにのったり。 楽しそうなスムートを見て、ほかのかげたちは思った。 「あのこに できるんなら」 「ひょっとして わたしたちも……」
さあ、いろんなかげが自由にうごきはじめましたよ。 タンポポのかげは勝手に空に舞い上がり、カエルのかげはおうじさまに。 トンボのかげは、大きくておそろしいドラゴンに。 でも……かげたちがやっていることは、もとの体が本当はやりたかったこと。 スムートがちょっと手助けをしてやると、かげたちは、もとの体と一緒に夢をかなえはじめた。 残ったのはスムートだけ……?
本書は、ふだん見向きもされない真っ黒な「かげ」が主人公。 アメリカ在住のミシェル・クエヴァス、カナダ在住のシドニー・スミスの2人による、イメージ豊かな絵本です。 自分がやりたいことをやること、心から楽しむことは、意外とむずかしいものです。 いつのまにか押し込めているかもしれない希望や情熱を、わたしたちはスムートの姿に見つけます。
絵本の中で、水彩の美しい色にとけこむように、躍動するスムートが描かれた場面には胸をゆさぶられます。 きっとこの絵本を読んだらあなたも気づくはずですよ。 「ほんとうは じぶんも、たのしいことが だいすき!」ってね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
スムートはおとこのこのかげ。はをみがくのも、えをかくのも、いつもいっしょ。おとこのこはわらわず、とんだりはねたりもしない。スムートは、7ねんはんずっとたいくつしていた。ところが、あるひ、スムートのからだはおとこのこからはなれた! チャンスだ! とスムートはそとにとびだした。やりたいことはたくさん。あれもこれも! ひっこみじあんなおとこのことそのかげスムートの、げんきがでるお話。
自分の影はいろんな形に変化しながら、自分といつも一緒にいるのです。
その影が意思を持って自由に動きだしたらどんなことになるのでしょうか。
発想の転換で自分に刺激を与えてくれる絵本です。
今までと違う自分が見えてくるような気がします。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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