
何もないことをあらわす「無」。そう聞くと,「からっぽの空間」,つまり真空を想像するかもしれません。さらに,空間すらも存在しないような「究極の無」を思いえがく人もいるでしょう。 現代物理学によると,真空はただの「からっぽの空間」などではありません。空間から物質をすべて取り除いても,そこには奇妙なものたちが満ちあふれているというのです。また,真空それ自体が,劇的にその状態を変化させるといいます。さらに,現代物理学は,「究極の無」にもせまりつつあります。 本書は,2018年に刊行し好評いただいた『無(ゼロ)の科学』の増補改訂版です。無の探究とともに進化してきた現代物理学の解説もまじえながら,「無」のおどろくべき正体にじっくりとせまります。
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