「ねこさん、ひげがりっぱね」 「はい、ひげのくにからきたものですから」
ヒゲタさんがやってきたのは、雨の夜。大きなねこが窓からのぞいていたので窓を開けると、するっと部屋の中に入ってきてベッドの上で丸くなったのです。
「おじょうさん、あまやどりさせてくれてありがとう」
朝起きると、ねこは言うのです。そして、驚くちかちゃんを「ひげのくに」に招待するというのです。
「……ひげのくに?」
名前がないというそのねこに、チカちゃんは「ヒゲタさん」と名付け、自らもヒゲタさんにもらったつけひげを付け、いざ出発です。そこは大人も子どもも、山も木もビルも、みんなひげ、ひげ、ひげで……。
話ができるねこ、ヒゲタさんと女の子のちょっぴり不思議な、いや、かなり奇妙でヘンテコな物語がはじまります。「こんな世界あるわけないよ 」そう思いながら読んでいても、物怖じしない明るく元気なちかちゃんの、ぐいぐい歩く様子に飲み込まれ、いつの間にか「ひげのくに」を堪能している自分がいるのです。
最後はドタバタ大変だったけれど、またヒゲタさんに会えるといいね。チカちゃん、おやすみなさい。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
りっぱなくちひげをたくわえた ことばをはなせるねこ、 ヒゲタさん登場!
ある雨の夜、チカちゃんが窓の外をみると、 くろぐろとしたくちひげのあるネコが一ぴき、 家のなかをのぞいてみました。 チカちゃんは、びしょぬれのネコを家にいれて、 その晩、とめてあげることにしました。
「チカちゃん、きのうはありがとう」という声に 目をさますと、きのうのネコが話しています。 チカちゃんは、なまえがないという、そのねこに、 「ヒゲタさん」というなまえを つけてあげました。
おれいにひげの国へつれていってくれるという ヒゲタさん。 チカちゃんは、つけひげをつけて、 ひげの国へ!
女の子と、ヒゲタさんの、 ちょっぴり奇妙でゆかいなおはなし。
|