子どもの脳がどんどん育つという迷路の本。いったいどんな秘密が隠されているのでしょうか?
まず、一つ目の秘密は、迷路の本でありながらも、いきなり迷路から始まらないところにあります。一番はじめに教えてくれるのは、正しい「姿勢と鉛筆の持ち方」。これはどんな学習に取り組む時にも大切な基本なので、正しく教えてくれるのがありがたいですね。そして次に教えてくれるのは「てゆびのじゅんびたいそう」。いわゆる迷路を楽しむ前のウォーミングアップ! お子さまと一緒にしっかり指を伸ばしたり、曲げたりするうちに、迷路をするぞーというやる気が高まってきます。手指もよく動きそうです。
二つ目の秘密は、迷路がステップ1からステップ3まで、段階を踏んで楽しむことができる構成となっているところです。ステップ1は「かんたんなめいろ」ということで、2歳から始められる運筆力を高める簡単な迷路になっています。手指や手首をうまく動かして、しっかりとした線を引くことができるように繰り返し取り組む段階です。ステップ2は「たのしいめいろ」。数か所だけに分岐点がある基本の迷路で、楽しく遊びながら、行く道を考えて進んでいくことができ、記憶力、洞察力や思考力を育てます。ステップ3は「ちえめいろ」。色、言葉、数、行事、生活環境などの学習要素が入った迷路になります。
実際に子どもとやってみると、なるほど、迷路というのは、まずしっかりとした線が書けるという運筆力を高めることが大事だということがよく分かります。ステップ1では、ケーキやお菓子を丸で囲んでお皿にのせたり、すべり台をすべらせたり、波を描いたり、1ページ1ページ、次々出てくる全く違う絵柄にワクワクしながらも、ただの丸や直線から、渦巻き、星型、ジグザグの線などどんどんステップアップしていきます。楽しく取り組むうちにいろんな線が書けるようになったら、いよいよ本格的な迷路への挑戦です。
ステップ2では、子どもたちの好きな食べ物や動物、虫、魚の迷路から、ともだちに会いに行く迷路、サッカーボールを蹴りながらゴールへ向かう迷路、またクイズ形式の迷路など、どんどん楽しいテーマが現れて子どもを夢中にさせてくれます。ここまでですでに62個の迷路を達成。相当な数です。けれども子どもは全く飽きず、どんどんやりたがり、次はいよいよステップ3へ。こちらでは赤いキャンディーだけを通る迷路、サンタクロースに全部の家を通らせてプレゼントを配る迷路、赤ずきんがおおかみにあわないように道を選ぶ迷路、1から10までの数字を順に進む迷路など、より頭を働かせたり判断しながら進む迷路が現れます。ここで3つ目の秘密になるのですが、とにかく絵柄とテーマが楽しいこと、どんどん新しい絵柄が現れ、ちょっとずつ難しくなることが、子どもをワクワク夢中にさせる秘訣のようです。さらに、迷路を達成するごとに貼れる「いいね!」シールもたくさんついているので、子どものやる気アップに繋がります。
監修者の久保田競さん(京都大学名誉教授/医学博士)によれば、迷路感覚は、小学校に入る前の2歳から6歳が、最も鍛えられる時期なのだそう。楽しく遊んでいるうちに自然と記憶力・思考力・知的判断力が育まれるというのは親としては嬉しいですよね。ひと通り終わってしまっても、線を消してもう1度やってみたり、より短い時間でできるようにするなど、何度でも遊べる迷路の本。ぜひお子さんと楽しく体験してみませんか。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
脳をきたえるには、乳幼児期に手を動かすトレーニングをすることが大切です。この本では、子どもが大好きなめいろあそびを通して、できるだけ指を動かし、脳の発達を促すことを目指します。達成度がわかる「いいね!」シールつき。3歳から
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