○あらすじ 節分の夜のことです。どのうちからもまめをまく音がして、おにの子のおにたは、いくところがありません。つのをかくす古いむぎわらぼうしをかぶって、まちを歩いていきました。ようやく小さな橋をわたったところに、まめのにおいのしない家をみつけました。そこには、おんなのことおかあさんがすんでいました。おかあさんは病気でした。てんじょうのはりの上で、ふたりのようすをみていたおにたは、おんなのこをよろこばせてやりたいと思います。
○編集部より おんなのこを思いやるおにたの気持ちが、せつなくいじらしく、いわさきちひろさんの絵とともに、いつまでもこころにのこります。あとがきで作者のあまんきみこさんは、「どうも、このごろのオニは、帽子をかぶりたがっている気がします。そして、雲霧四散したがっているようにさえ思われてきました」と書かれています。・・・おにたは今、どこにいるのでしょうか?
いわさきせんせいの絵にふれると幼い頃に戻れます。
いつも先生の挿絵の入った絵本を読んでもらっていましたから。
節分も近いので、図書館から借りてきました。
おんなのこの母親を心配させないようにとの気遣い、
おにたがおんなのこへ渡した節分のごちそう。
どちらも、“温かいおもいやり”から出た偽りの言葉やおこない。
鬼は心の中で生まれるもの。
おにたの心の中には鬼はいませんでした。
最後のページは、はっとさせられました。
おにたが豆になってしまったのか?と。
あまん先生の作品は、私の心に優しい響きの鈴を鳴らしてくれます。
『まほうのマフラー』・『きつねのかみさま』など忘れられない作品ばかり。
“思いやり”や“優しさ”がお話の中にそっと入っていて、その美しさ尊さを思い出させてくれます。。
読後、こういうお話に胸がじ〜んとさせられ、出会えた幸運に感謝しています。 (アダム&デヴさん 50代・ママ 男の子11歳)
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