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ハブラシのサミー ―海のなかのプラスチック―

ハブラシのサミー ―海のなかのプラスチック―

  • 絵本
著: M・G・レナード
絵: ダニエル・リエリー
訳: 青山 南
出版社: 化学同人

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税込価格: ¥1,980

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作品情報

発行日: 2020年10月20日
ISBN: 9784759821024

出版社のおすすめ年齢:低学年〜
26ページ

みどころ

6歳の女の子ソフィアは、お気に入りの黄色いハブラシに、サミーと名前をつけて大切にしていました。
ところが、朝晩と欠かさずソフィアの歯をきれいにしていたサミーは、ブラシがボサボサになってしまいます!

「あら、あら! あたらしいハブラシにしないと」
それを見つけたお母さんは、サミーをゴミ箱に捨ててしまいました。

車で運ばれ、やがて船に乗り、海を渡って、どこかの遠い国についたサミー。
しかし、ゴミとして捨てられてもソフィアのことが忘れられないサミーは、ネズミの力を借りて川に飛び込みます。
いざ、海へ! そして、ソフィアのもとへ!

地球環境に影響を及ぼす、プラスチック問題について考えるための絵本が登場です。
プラスチックストローが紙製ストローに変わったり、レジ袋の無料配布が廃止されたり、地球環境に配慮するおおきな動きが、近年特に盛んになっています。
その背景には、東南アジアへのプラスチックゴミ輸出の問題や、マイクロプラスチックによる海洋汚染が広く知られるようになったことによる、危機感の高まりがあるのでしょう。

ソフィアの家に向けて大海原を冒険するサミーですが、彼がゆく先々で出会うのは、彼のことを食べようとする動物や、同じくゴミとして捨てられた、さまざまなプラスチック製品たち。
そうして、プラスチックにまつわる環境問題を描写する本書ですが、特に印象的なのは、サミーがプラスチックゴミのカップルと出会うシーンです。

「ぼくたちはいつまでもいっしょなんだ。いつまでもいつまでも、永遠にね」

そういってほほ笑み、見つめ合うカップル。
しかしそれは、プラスチックが自然には分解されず、半永久的に環境に残ってしまうという性質を示しています。
なんともブラックな皮肉が効いていて、ゾクっとさせられました。

さて、本書で特別にフォーカスされているのがプラスチック製ハブラシの問題。
しかし環境に悪いとはいえ、磨き残しを減らし、清潔な歯を保つためには、歯ブラシはひと月ごとに新しいものに変えるのが望ましいとされています。
プラスチック製から紙製に変わったストローとは違って、なかなか改善しようがないんじゃないかと考えていたのですが——

なんと、物語の最後に新提案!
ブラスチックではなく、あるものでできたハブラシがあるんですって!
驚きの素材は、絵本を見て確かめてください。

環境についての価値観が目まぐるしく移り変わっていくこの時代、親子で最新の環境問題を学ぶきっかけに、おすすめの一冊です。

(堀井拓馬  小説家)

ハブラシのサミー ―海のなかのプラスチック―

ハブラシのサミー ―海のなかのプラスチック―

出版社からの紹介

ソフィアは自分のハブラシに
サミーと名づけ、大切につかっていました。
しかし、古いからもう使えないという理由で
サミーは捨てられてしまい、
ほかのプラスチックごみといっしょに
船で運ばれ、海や川を漂います。

たくさんのプラスチックごみと遭遇しながら、
最後にはアホウドリの助けをかりて
ソフィアの家までかえってきたサミーは、
ハブラシとしてではなく、人形の髪をとかしたり、
靴のよごれをとったりすることで活躍し、
大切にされました。

プラスチックごみの現状を知り、
環境へ配慮する気持ちを育てる絵本です。

ベストレビュー

考えてしまいました

プラスチックごみについて考える絵本ですが、環境問題を考えるという視点では、かなり大胆な問題提起です。
回収された生活ゴミがそのまま、放置されるようなことがあったら、それ自体が環境汚染でしょう。
おまけにそのゴミたちは、海に入っていきます。
まだこんな国はあるのでしょうか。
でも、本題はそれから先です。
プラスチックごみがこれほどまでに厄介なしろものとは思いませんでした。
分別されて回収されたプラスチックのごみも、さらに仕分けをしないとリサイクルの流れにのらないのですね。
ここまで意識したことがなかったので、最後の解説はとても重要でした。
生活の中で、どのようにしていけば良いのでしょうか。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )

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