真っ白でふかふかのねこ、けだまちゃん。わたしのかばんがお気に入りで、いつもかばんの上でごろんとしているんだけど……。ある冬の日、街に出かけたら、かばんからけだまちゃんが飛び出して、行方不明になっちゃった!? わたしは必死で探します。どこどこ、けだまちゃん?
駅のほうへ、スケート広場へ、図書館へ。冬の北欧・フィンランドを舞台に、けだまちゃん探し。わたしは、ふわふわの白い毛を手がかりにあちこちで「けだまちゃん!」とつかまえようとするけれど、ふわふわの犬だったり、子どものマフラーだったり。絵本をめくっていくうちに、一緒に読んでいた子どもも張り切ってけだまちゃんを探します。
「これがけだまちゃんかなって思うけど……、たぶんおヒゲだよ!」と年長さんくらいの子だと深読みできちゃう(笑)。でもさすがにサウナハット(サウナ用の帽子)はわからないかも!? 児童書の装画やイラストで活躍中の坂口友佳子さんがはじめて文・絵ともに手がけた絵本。ヘルシンキ(フィンランドの首都)の街並みや、建物、駅などをアンティークな雰囲気の色彩で描いた、ノスタルジックな世界観にうっとりします。女の子の踊るような長い髪も印象的! 北欧好きな大人の読者なら「あれは、ウスペンスキー寺院?」「サウナ付きの観覧車、スカイウィール?」と有名な観光スポットにワクワクする方もいるかもしれません。街を満喫しつつ、さて、けだまちゃんは見つかったのでしょうか? それは本書を読んでのお楽しみ。絵探し気分も味わえちゃう、かわいいおはなし絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
あるひ、町で、けだまちゃんが迷子になります。 けだまちゃんの落とした毛をたどって、けだまちゃんを探しましょう。
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