子どもたちがもう寝てる夜のこと。大きな食いしんぼうのくまが背の高い松の木に登っています。
「あむ あむ おいしい。 もっと たべたいな」
木に絡まったやまぶどうの実を食べているのです。くまは夢中になるうちに、どんどん木の上に登っていきます。あまり嬉しくないのは、松の木の方。何しろ上の方は細くなっているのです。このままじゃ大事な枝が折れてしまう。重さに耐えられなくなった松の木は、全身をばねのようにしならせて、くまを夜空に……はねあげた!
「びょーん」
空の彼方へ飛んでいく、くま。その勢いで「ずぼ!」と突き抜けたのは雨雲。すると!?
静かなはずの真夜中に巻き起こる大騒動。きっかけは、もちろん飛ばされたくま。彼の行く先々で、とんでもない展開が繰り広げられ、見たこともない光景が次々に。ところが、どうでしょう。読者の方といえば、驚きがすぐにワクワクに変わり、気がつけばうっとり……なんて美しいのでしょう。
いえいえ、これはやっぱり間違っている。気がついたのは、夜明けになって顔を出したおひさまです。大きな声で号令をかけるとともに、今日も無事に朝がやってきますよ。
お話に夢中にさせてくれるきっかけは、作者アヤ井アキコさんの描く「くま」。なんと言っても、大きな身体ととぼけた表情のギャップが魅力的。こんなに愛らしい騒動だったら、何度でも読みたくなっちゃいますよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
くいしんぼうのくまがおこす、真夜中のおおさわぎ!「あむあむ、おいしい。もっとたべたいな」山ぶどうの実に夢中になり、どんどん松の木をうえにのぼっていく、おおきなくま。くまの重さにがまんができなくなった松の木は、全身をばねのようにしならせて、夜空へはねあげた!
図書館のおすすめコーナーで見つけました。
くまが松の木の上にのぼったら、松の木が根っこから幹のてっぺんまでしならせて、バネのようにくまを跳ね上げた。そしたらああなってこうなって……。とどんどん繋がるお話です。
私たちが知らない間に、夜にこんな素敵なことが起こっているんだと思ったら、なんだかワクワクしてきます。
アヤ井アキコさんのイラストは、軽快で柔らかくて美しかったです。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子13歳)
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