ばあばはこのごろ元気がない。ケーキも焼かないし、お部屋もほこりだらけ。そして、笑わなくなった。「じんせいから よろこびが きえちゃったみたい」って、ママはいう。
「よろこびって?」 「ひとの こころを しあわせに して、めを かがやかせる ものよ」 「ばんごはんの あとの ダンスみたい? すべりだいを ワァーイ!って すべるみたい?」 「そうよ! すばらしく すてきな ワァーイよ!」
「ばあばは ワァーイって したいんだ!」。ファーンは、ばあばの人生に「よろこび」を とりもどしてあげようと、「ワァーイ!」を探しに出かけます。 わたしたちに「よろこび」の意味をやさしく教えてくれる、おばあちゃんと孫娘のあたたかな物語です。
普段何気なく使っている言葉ほど
その意味を人にうまく伝えられないことがあります。
イギリスの作家コーリン・アーヴェリスさんが文を書いて
イザベル・フォラスさんが絵を描いた
『ばあばにえがおをとどけてあげる』という絵本には
「よろこび」という言葉の意味を
主人公のファーンという女の子がママに訊ねる場面があります。
ママが答えます。
「ひとのこころをしあわせにして、めをかがやかせるものよ」
なんて、素敵な答えでしょうか。
ファーンがそんな質問をしたのには
理由がありました。
ファーンが大好きなばあばが最近元気がないからです。
どうかしてばあばを元気にしてあげたい彼女は
町に出て「よろこび」を捕まえることにしました。
ファーンには町は「よろこび」に満ち溢れています。
子犬のにこやかな顔、小さな女の子の笑顔、池の水のきらめき、
でも、それを捕まえることはできません。
仕方ないので、ばあばに自分がみた話をしてあげました。
すると、どうでしょう、ばあばの顔に笑顔がもどりました。
何気なく「よろこび」という言葉を使い、
それをとても大層なものに思っているかもしれませんが、
よく見ると、この世界にはたくさんの「よろこび」に満ちています。
この絵本に出会えたのも「よろこび」。
ちなみにこの絵本の原題は「joy」、「よろこび」です。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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