わかってないから、おもしろい? それとも…『なんなんなん?』 【NEXTプラチナブック】
花たちに声をかけながら庭仕事をしているおばあちゃんに、ぼくは聞いてみる。
「ね、なんのために いきているのかな?」
おばあちゃんはなんなんなんでも知っている。
「なんなんなん……」
言いかけて、おばあちゃんはぼくにささやいた。
「そのこたえを さがすんだよ」
ぼくは旅に出た。出会った人たちに聞いてみる。
「なんなんなんのために いきているんだろう?」
漁師さん、俳優さん、町はずれのねこ、大工さん。みんながそれぞれ答えを持っている。ぼくはそれを聞いて、わかるようなわからないような。他の人にもどんどん話を聞いていく。そして、ある時出会った哲学者の話を聞いているうちに、ぼくはいてもたってもいられなくなって……。
アメリカのベストセラー作家のコンビによって生まれたこの絵本。「人は何のために生きているのか」。聞くと難解に思えるこの問いかけに、これ以上ないくらいシンプルに、けれど壮大なスケールで、全体的にユーモラスな雰囲気を漂わせながら答えてくれるこの絵本。声に出して読めば、小さな子どもにも身近で楽しく読ませてくれるのは、ユニークな翻訳の効果でもあるのでしょう。
ぼくの旅は決して短いものではないけれど、大切なのは自分の中から何かが「わいてくる」ということ。そのためだったら、いつまででも旅は続けていられる。そんな風に思わせてくれるこの絵本は、忘れられない一冊になりそうです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
自分に大切なものは何かを考えさせる絵本
「なんなんなん?」とは、「なんのために生きているの?」という問いかけ。 人生に大切なものは、人それぞれ違います。主人公の少年は、おばちゃんに聞きます。 「なんなんなんのため?」と。 おばあちゃんは、「それは自分で探さなくちゃいけないよ」と答えました。
すると、少年は、それを探すために旅に出ました。 漁師さん、ダンサー、大工さん……いろんな人に出会い、「なんなんなん?」と問いかけます。
少年は、自分の答えを見つけることができるのでしょうか?
アメリカのベストセラー作家コンビが、人間の永遠のテーマをほりさげて生まれたユニークかつ難解な絵本。
【編集担当からのおすすめ情報】 作者、イラストレーター共に、受賞歴多数で、常に新作がニューヨークタイムズベストセラーにランクインするアメリカを代表する児童文学作家コンビの絵本です。 作者のマック・バーネットは『アナベルとふしぎなけいと』で、カーソン・エリスは『なすずこのっぺ?』で、日本でも数多くの課題図書に選ばれており、広く読者を獲得しています。他にも訳書多数。 ユニークな翻訳で定評のある詩人アーサー・ビナードの翻訳です。
自分は何者なのか?
何のために生きるのか?
少年は問い続けて旅をします。
人々のこたえに心を傾けるも、納得は得られず、旅は続く。続く。つづく。
しかし、やがて気付く。
この問いに答えることは簡単ではなく、それには長い年月がかかることもあるでしょう。
それと同時に何度も問い続けることが大切だとも教えてくれます。
初めて読んだ時、軽い衝撃を受けるほど、素晴らしい絵本でした。
図書館で借りましたが、いつかお迎えしたい一冊です。 (みいつけたさん 30代・ママ 女の子4歳)
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