大好きだったおばあちゃんの「うめこさん」が天国に旅立ってから、3年が経った。おばあちゃんが遺してくれたのは、手作りの小物を売る雑貨店「葉風堂」と、キャラメルの香りがする木。
「ほら、葉っぱをよく見てごらん、かわいいハート型をしてるでしょ。 キャラメルの木はね、人と人を結ぶ木なの」
葉風堂を継ぐかたちでひらかれた、お母さんのハンド・メイドの店。 どこか影のある、話すのが苦手な転校生。 そして、突如あらわれた赤い家と、そこに住む魔女のような女性。
小学五年生、絵菜の日常は、キャラメルの香りが風にのる季節を迎え、ますますにぎやかになってゆきます。しかし、それらはキャラメルの木が結ぶ、あらたな奇跡のはじまりでもありました。
心おどるたくさんのモチーフでいろどられた、別れと出会いの奇跡を描いた一冊です!
誕生石やパワーストーンをあしらった、アクセサリーの数々。秘密基地みたいな小さな図書館と、猫の館長。そして、心の込められた小物でいっぱいの、かわいらしい雑貨店。どこを読んでも、「こんな町や日々のなかで暮らせたらいいな」と思わせてくれる、あたたかくて、かわいらしいモチーフであふれています。 また、キャラメルの木を描いたイラスト群もみどころ! 秋風のさわやかさとやわらかな日差しが香り立つようで、物語のイメージを大きくふくらませてくれます。
数々の出会いを通じてはじまる、ある秋のあたらしい日常。一見してはなんの関係もないそれぞれのエピソードですが、物語が進むにつれ、キャラメルの木と「うめこさん」を中心としたやさしい絆が、思いもよらないかたちでそれらをつないでいることが浮き彫りになっていきます。
そうして、キャラメルの木がもたらしたかつての出会いは、やさしい想いをのせて脈々とつむがれ、奇跡のような再会を果たすことに! 自分を取り巻くたくさんの人々の絆に想いをはせて、ぐっと胸が熱くなる物語です。
(堀井拓馬 小説家)
主人公の絵菜は、祖母のうめこさんが残してくれた雑貨店「スィートスメル」がお気に入りの場所。店の前にある「キャラメルの木」はシンボルだった。ある日、絵菜と友人の夏香、桜介は、町はずれにある古びた洋館を発見する。建物の前には「こうのき図書館」の看板が。『この建物が図書館!?』。不思議がる3人の前に神秘的な雰囲気の女性が現れる。図書館の前には、あの「キャラメルの木」が!この人は何者なんだろう…?キャラメルの木に集う人と人をつなぐ感動の物語!!
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