はるきたよ はるきたよ ひらひらと春風に舞う花びらに、最初に気づいたのはテントウムシ。 うれしくなって、川面に浮かぶ桜のふねに乗り、山の仲間たちに春を知らせに行きます。
はるきたよ はるきたよ その声に気づいたともだちのハチやチョウたちも、やっぱりうれしくなって。 同じく桜のふねに乗って、てんとうむしに続きます。 ニヤトコやカタクリの花々は、目を細めて虫たちの旅を見守ります。 いいたびに なりますようにーー。
やわらかな風、包み込むような優しい日差し。 虫、鳥、動物、草花、川や風までも、みんな、首を長くして春を待っていたのでしょう。うたい、飛び跳ね、はしゃぎます。時々「よりみつ」なんかもしたりして……! 生きものや自然にとって芽吹き花咲く季節を迎える喜びがどれほどのものか、のびやかに躍動する絵と言葉に感じ入ります。作者はきくちちきさん。紅葉の季節を鮮やかに描いた『もみじのてがみ』に続き、本作も春の自然の生を讃えたまぶしい一冊となりました。
ゆっくりと進んでいく桜のふね。虫たちの目の前に広がる麓の風景は、息をのむ美しさです。雄大な春の山の旅を、生きものたちと一緒に味わってくださいね。
(竹原雅子 絵本ナビライター)
春きたよ、春きたよ。川面に浮かぶ桜の花びらに嬉しくなったテントウムシは「さくらのふね」に乗って、山の生き物たちに春を知らせに出かけます。友達のハチやチョウ、カタクリやニリンソウの花たち、シカやカモなど、みんなで春を喜び合います。
桜は春の訪れを象徴する樹だと思います。
満開の桜には感動します。
でも、すぐに散ってしまう桜は、花びらに春の訪れをしたためているような気がしました。
川辺に咲く桜は、川面に花びらを散らします。
花筏が流れにのって春の訪れを伝えます。
それがこの絵本でしょう。
春爛漫を楽しむこの絵本、やっぱり桜が咲いてから読み聞かせしましょう。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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