みすゞを育んだ山口県長門市仙崎の町。風光明媚な「仙崎八景」をはじめ、 みすゞが見つめた風景、そこにあったものを緻密な筆致による鉛筆画で表現。 思わず仙崎を訪れてみたくなる絵本です。
“金子みすゞ”の絵本詩集です。
数年前のACのCMで一躍有名になった“金子みすゞ”さん。
このCMを目にした耳にしたという人も多いかと思います。
その時流れていたのは「こだまでしょうか」という詩で、彼女の代表作といわれているのが、「私と小鳥と鈴と」です。
ですが、この絵本の中にその詩は載っていません。
タイトルに「ふるさと仙崎のうた」と副題がついています。
(もちろん、彼女は若くして亡くなっているので、この作品を作り、編集されたのは矢崎節夫氏です)
金子みすゞさんが故郷を思って作った詩が16個載っています。
どれもこれも、その場所を知らないのに風景が見えてくるような素敵な詩でした。
特に気に入ったのは表題作の「海とかもめ」と、この本の一番最後に紹介されている「大漁」という詩です。
ちなみに本州の関東に住んでいるわたしが無知なだけで、この「大漁」という詩は、彼女の故郷「仙崎」の青海島シーサイドスクエアという場所に、みすゞさんの胸像とともに掲げられているそうです。
「海とかもめ」だけ紹介します。
海は青いとおもってた。
かもめは白いとおもってた。
だのに、今見る、この海も、
かもめの翅(はね)も、ねずみ色。
みな知ってるとおもってた。
だけどもそれはうそでした。 ……(詩はもう少し続きます)
わかる〜!と、思いませんか?私も子どもの頃、初めて海を見たとき思いましたもん。「青くない」って。
ものすごく素直な気持ちで、見たまま心に浮かんだままをきれいに描き出せる詩人だったんだなと、改めて思いました。
この詩集絵本の絵を担当された尾崎慎吾さんの金子みすゞの同郷の山口県出身のイラストレーターで、この作品で描いたイラストはすべて鉛筆書きだそうです。1枚1枚とても見ごたえがある素晴らしい絵です。
詩と一緒にこの絵本の仙崎の世界を堪能してください。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子21歳、女の子16歳)
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