作家、高橋源一郎が、コロナ禍と五輪騒動の2年間、静かな東京の街を歩きまわった。
6歳のとき、夜逃げ同然で東京に出てきた作家は、この大都会で数十回の転居を繰り返しながら、街の変遷を見続けてきた。 半世紀を経たいま、作家は新トキワ荘で赤貧の少年時代を、御茶ノ水で学生運動の時代を回想し、大晦日には閑散とした明治神宮を散策する。 ジブリ美術館で宮ア駿との、渋谷川で庵野秀明との交友を懐かしく思い、皇居では昭和天皇の語られなかった人生に思いを馳せる。 時の古層を垣間見せる重層都市、東京の尽きせぬ魅力を達意の文章で愉しむ東京探訪記。
目次より
はじめに わたしがTOKIOを歩いたわけ 御茶ノ水 文化学院、夢の跡 新国立競技場 戦争とスタジアム 新宿 都庁舎で都知事選を 上野動物園 あつまれ動物の森 明治神宮とはとバス 『東京の歩き方』を片手に トキワ荘マンガミュージアム マンガが若かったころ 三鷹の森ジブリ美術館 宮アさんの話 渋谷 天空の都市と地下を流れる川 皇居 長いあとがき
高橋源一郎(たかはし げんいちろう) 作家。1951年、広島県生まれ。『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞、『日本文学盛衰史』で伊藤整文学賞、『さよならクリストファー・ロビン』で谷崎潤一郎賞を受賞。著書に、『一億三千万人のための小説教室』(岩波新書)、『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新書)、『お釈迦さま以外はみんなバカ』(インターナショナル新書)、『「ことば」に殺される前に』(河出新書)など多数。NHKラジオの番組「高橋源一郎の飛ぶ教室」では数多くの本を紹介している。
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