母の実家の和菓子屋に母と身を寄せる、はるこ。父は出張ばかりで、他人のよう。しかし父には、家族に打ち解けられない理由が…。はるこは自分に似た「ぺぺちゃん人形」に思いを託し、父に渡します。父と娘の不器用な愛情物語。 あんこを丸めた、やさしい色のお菓子には、ケーキとは違うお話が隠れています。 満月の夜には、ほかの夜には起こりっこない、お話が起こります。 ぺぺちゃんはそのことを知っています。 ひとりでそっと、見ていたからです。(作者・村中李衣さんからのメッセージより)
鼻の奥がつんとするような、物悲しい断片集です。
父と義父との確執、夫婦の不協和音、友だちとの行き違い、どれも心当たりのある小さな心の重荷です。
でも、読み終えて心に残るのは、和菓子の作りのように、見事にひとつの形になっているからでしょうか。
はんぶんぺぺちゃんの意味合いに感銘しました。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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