静かにじっと見る。そうすれば、わたしは中にはいれるの。ビー玉の中にも、ソーダすいの中にも、しゃぼんだまの中にだって。ころんころんと転がる感覚だって、小さなあわが足のうらをくすぐる感触だって、ふわふわと雲の上にとんでいく浮遊感だって、わたしにはわかる。
「じっとみるの」
タイトルのとおり、絵本の舞台となっているのは少女の強い視線の先。そこにあるのは、誰もが一度は憧れたことがあるだろう「なか」の世界。ゼリーのプールに入ってみたら、どんな景色が広がっているだろう。パンの上に寝てみたら、どんな夢をみるのだろう。あるいは……。
消え入りそうなほど繊細な線と、キラキラと透明感あふれる色彩で描くのは、幻想的でありながらも不思議と実感をともなう美しい光景。その冷たさも、重みも、静けさも、知っていたような、体験したことがあるような。じっと見つめていれば、私たちにも行くことができるかもしれない。その入口は日常のどこにでもあるかもしれない。そんなひっそりとした高揚感を味わえる絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ビー玉、ゼリー、つぼみのなか……入ってみたらどんなだろう?ずっと手元に置いて、何度も見返したくなる。たちばなはるかが描く、美しき【イマーシブ(没入型)絵本】。
初めて読む作家さんだったんですが、読み始めてすぐに、ああ、この絵本すきだなあと思いました。想像がひろがっていく楽しさにわくわくしてしまいます。しかも、絵がとても美しくて幻想的で素敵です。特にゼリーの場面では見入ってしまいました。ほかの本も読んでみたいと思います。 (あんじゅじゅさん 50代・その他の方 )
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