「ぼく ゆいちゃんのこと すきかも」と同じクラスのあっくんに言われて、ひっくりかえるほど驚いた、ゆいちゃん。「なんで?」と聞いても「来週おしえるわ」としか言ってくれない。今日は月曜日やで。来週まで1週間もある!
あっくんに理由を教えてもらえないので、ゆいは仕方なく、火、水、木、金……毎日考えます。「ぶたばな、ブヒブヒがじょうずやから?」「だんごむし見つけんの、うまいから?」何を聞いてもあっくんは「ちゃうちゃう、ちゃうねん」。ついに約束の「来週」、月曜日にあっくんがゆいちゃんのところに何かを持ってきます。そして「すきかも」と考えた理由を教えてくれて……。
小学校低学年の子たちにぴったりの絵本。ケンカしたり、笑ったり、学校で助け合ったり……そうやって男の子や女の子関係なく、信頼関係を築いていく一方で、「(特定の子に)何かをしてあげたい」と思う繊細な気持ちも、ちょっとずつ揺れ動きながら育っていくのかもしれません。
もりなつこさんの親しみやすい文章に、照れたり驚いたり表情豊かな子どもたちを、はしもとえつよさんが生き生きと描きます。理由を考え尽くしたゆいちゃんが、日曜日に「わたしがすきなもの」について考えるところが微笑ましいです。ぜひ親子やお友だちとで「すきなもの」についておしゃべりしちゃいましょう。子どもたちの前向きな「すき」に心がほこほこする絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
ある日、クラスの男の子あっくんに「すきかも」と言われたゆい。どうして好きなのかは来週教えると言われ、長い一週間、ゆいは理由を考える。 「なんで わたしのこと すきなん? ぶたばな、ブヒブヒが じょうずやから?」 「ちゃうちゃう、ちゃうねん。ぶたばなと ちゃうねん」 理由はわからないまま月曜日。ゆいはあっくんからミニトマトをもらう。
すき。お母さんやお父さんなどの家族になら、そして大好きなぬいぐるみになら、躊躇なく言ったりできそうだけど。
同級生の男子に言われるワードとしては、かなり強烈だよね。その、強烈具合がストレートに伝わってくる、わくわくするお話です。
子どもと一緒に読みましたが、うちの子はもっと学年が上なので、ここで表現されている「すき」を通り過ぎてしまった年頃。
でも何歳になっても、人から言われる「すき」は強い言葉だよね。
ちゃうちゃうちゃうねん、って、昭和世代の私は昔から言われてる、関西方面のだじゃれしか思いつかないタイトルで、そういう系統かと思ったら全然違いました(笑)。
(だっこらっこさん 40代・せんせい 女の子9歳)
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