年に一度のジャングルダンスまつりでは、ライオンがタンゴを、イボイノシシがワルツを、チンパンジーはチャチャチャを上手におどります。きりんのジェラルドは首が長すぎてダンスが苦手。おまつり広場に行くと、「おどれないくせに、なんできたの?」と動物たちにからかわれ、ジェラルドは悲しくて、広場から逃げだしました。
月を見上げてため息をつくジェラルドに、こおろぎが声をかけます。「きみがほんとうにおどりたいなら、音楽が聞こえてくるよ」そういってこおろぎはバイオリンをひいてくれました。すると、まあどうでしょう! ジェラルドのからだが自然に動きはじめました。首がゆらゆら、しっぽがぷるるん、足をよこにけって、宙返り! そんなジェラルドのダンスに気づいた動物たちがまわりに集まってきました。「きせきだよ! ジェラルドのダンスはだれよりも上手だよ!」
この絵本は、子どもに自分のもつ可能性の素晴らしさをやさしく教えてくれます。
1999年のイギリスの作品。
表紙のきりんが、バク転しているかのような姿に惹かれて読みました。
これは、想像以上に弾けた作品です。
主人公は、きりんのジェラルド。
あまり走るのが得意でないという設定です。
そんなある日、年に1度のジャングル・ダンスの開催日がやってきます。
アフリカの動物達が、ダンスするのですが、その仕草といったら大笑いできるもの。
実に良く、その動物の特徴を捉えています。
ライオンのタンゴとか、チンパンジーのチャ チャ チャなんて、是非見たいものです。
で、ジェラルドと言えば、ダンスが上手く踊れないのに、何でこの会場に来たのかと、みんなの笑いもの。
その笑い転げるシーンも、確かに動物ならこんな笑い方をするだろうなと思えるものです。
後半は、落ち込んだジェラルドが、こおろぎに勇気づけられて、1人でダンスを始めるシーンで始まります。
少し背中を押されただけなのに、ジェラルドは、その潜在能力を開花することが出来るのですが、「まず、出来ないという前にやってみる」ことの大切さを諭してくれる作品です。
至極単純なのですが、それが、この絵本の魅力。
分かりやすくて、その絵の楽しさとの相乗で、水準の高い絵本に仕上がっていると思います。
パパに読み聞かせして欲しい、オススメの作品です。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
|