フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ1巻は、作家いしいしんじさんとマンガ家ほしよりこさんが描く『赤ずきん』。
「赤ずきん」と言っても、オオカミやおばあさんが出てくるおなじみの「赤ずきん」とはがらっと違う、大人の「赤ずきん」です。 何と言っても、書き出しが「あたい 赤ずきん」。 彼女がまとっているずきんは透明で、目には見えない。 そして、透明な犬(名前はおおかみ)と一緒にいて、ドンデコスタ丸で夕陽の向こうに消えていった男性ジローを思い続けている。 綴られているいくつかの物語は、ファンタジーのようでもあり、どこにでもいる女性のお話のようでもあり……。
誰にだって、当たり前のように続く日常に、疲れてしまうときがあると思います。 がんばっているこの人生は、いつか報われるんだろうかと思ってしまったり、この日々はどこかにたどり着くことはあるんだろうかと考え込んでしまったり……。 そんな疲れた夜にそっと開き、静寂の中、何も考えずにいしいしんじさんの文章の心地よさと、ほしよりこさんの描くイラストの透明な世界に、ただただ浸ってみて下さい。 カチコチに固まっていた心が、ゆっくりとときほぐれていくことと思います。 お供には、ぜひこの本の赤ずきんが好きなリンゴジュースをどうぞ。この絵本の世界に、よりひたれるかも?
(洪愛舜 編集者・ライター)
「あたい赤ずきん。」で始まるいしいしんじさんの文章に『きょうの猫村さん』のほしよりこさんが同時進行で絵を描いた、 深い思索に富む創作絵本がボリュームアップして登場。どこにもない一冊です。
全頁試し読みで読みました。私の知っている「赤ずきん」だと思って読んでいる私だから、最初から最後までちんぷんかん???でした。先入観が働くからいけないのだと思いました。どこかなげやりだった憂いを持っていた青春の日々に思いを馳せた時間でした! (押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば )
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