フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ15巻は、日本の民話『くわずにょうぼう』。 むかし、お金持ちなのにとてもケチな男がいました。そこへ美しい女の人がやってきて、「ごはんを食べないで働きますから、あなたの女房にしてください」と言うではありませんか。男はその言葉を信じられませんでしたが、美しい人なので承諾すると、女の人は本当にかいがいしく働くいい女房になりました。 朝昼晩、ごちそうを作ってくれて、しかも自分は一口も食べず、にこにこするだけ。男は満足しながらも、女房が何も食べずに働けるのが不思議でならなくなりました。 そこで、ある晩、女房がそっと出かけていくのに気づき、後をつけると、なんと男が目にした光景は…!
下谷ニ助さんのスタイリッシュなイラストが、ひやリと怖い昔話をこんなにおしゃれに見せてくれて楽しいですね。女房が夜出かけて行く場面のかっこいいこと。女房の足下だけを見せるカットで、物語の緊張感が高まります。 その後の、あまりにショッキングなシーンには、子どもたちも、主人公の男のように凍りついてしまうでしょう。 でも、さすが、語り手の二宮由紀子さんは、物語の達人。この昔話の前後に、今の時代のお母さんを登場させ、ほっとするセリフを言ってくれるのです。これがあれば、子どもたちも安心して眠れますね。
(長安さほ 編集者・ライター)
日本民話として長く読み継がれてきたお話を、生きのいい文章が一気に物語の世界へと引き込んでいきます。 ある日、けちんぼうな男の家に、美しい女の人がやってきました。「わたし、ごはんを食べないで働きますわ。 あなたの女房にしてください」というのです。男は大喜び。でもある晩、驚くことが起こったのです――。 クライマックスへ向けてページをめくる時の手に汗握る感触は、紙芝居の山場のわくわく感のよう。 かわいい女房とおいしいご飯に喜ぶ日々と、変貌する女房に驚愕する夫……。 ユーモアと迫力とに満ちた絵本をたっぷり楽しんでください。
昔話を現代の主婦に語らせた作者の手腕に脱帽です。表紙からは想像もしなかった現代の主婦、上からのアングルにカメラ目線の絵も素敵。ドラマの一場面のような始まりのおかげで昔話の世界に入りやすく、楽しく読ませていただきました。昔話の枠をこえたオリジナリティが認められる絵本だと思います。子どもにかこつけて主婦が買いたい絵本です。 (えれふぁんてせんべいさん 30代・ママ )
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