「女の戦い」という詩は、こう始ります。 『式がこれからという時 姑になるべきその人が私の前にぴたりとすわり 立札みたいに四角に 言葉を選んで云ったのです 「あの子はこれまでいつも我ままに育てましたけえ あんたもこれからあの子の云う事は ようても悪うても絶対さからわんで下さいよ」
おお何たること、今まで聞いたこともないその云い草(後略)』
まだ封建的色合いの強い1927年21歳で結婚した永瀬清子さんの、 ここから始る「女の戦い」の序章でした。
1906年岡山に生まれ、結婚して2男2女の母となり、農婦をやり県庁にも勤め詩を書きつづけた 詩人永瀬清子は女であり嫁であり妻であり主婦であり親であり、詩人である以前に、 「人」であるが故に、生涯「女の戦い」に挑んだのです。
表題の「だましてください言葉やさしく」を含む15編の詩及び31編の短章を収録。 巻頭には谷川俊太郎さんの詩「永瀬清子さんのちゃぶだい」を収めました。
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