フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ24巻は、グリム童話『みつけ鳥』を絵本にした『みっけちゃん』。
ある日、森へ出かけた男は、木の上に置かれていた赤ちゃんを家に連れて帰り、「みっけちゃん」と名付けて自分の娘・レーネちゃんと一緒に育てることにしました。 レーネちゃんとみっけちゃんは大好き同士の仲良しで、毎日一緒に過ごしていました。 しかし、料理女のおばあさんがみっけちゃんを熱々のお湯にぶちこんでスープを作ろうとしていることを知ってしまい、レーネちゃんとみっけちゃんは逃げることに! 三人の下男たちとおばあさんに追われるレーネちゃんとみっけちゃん、逃げ切ることはできるかな!?
「ずっと だいすき やくそくできる? そしてら あたしも ずっと だいすき」 「ずっと だいすき やくそくするよ」 リズミカルな文章にコミカルなポーズや表情が心地よく、いつまでも読んでいたい、この世界に中に入っていきたい、そう思わせてくれる絵本です(おばあさんは少し怖いけど……)。
(洪愛舜 編集者・ライター)
グリム童話の『みっけ鳥』がこんなに愛らしくポップな絵本になるなんて! 主人公たちが追っ手から逃れるために、バラの木や教会に変身してしまう何とも不思議なお話ですが、 リズミカルで歌うように語られるお話と、テンポよく場面が変わっていく絵本ならではの楽しさで
この不思議がすとんと胸におちるのです。幼い頃から心通わせ、大好きどうしのふたりだからこそ、 災いの手から逃れるための愛の力を強く持つことが出来たのでしょう。細やかに描かれたイラストを じっくりとご覧下さい。変身したレーネちゃんには白いリボンが、みっけちゃんには黄色い葉っぱがついていますよ。
ためし読みで☆
実際に声を出して読んでみました。テンポがよくリズミカルな文章はとても音読がしやすくて、あ、これは学校でも紹介できそうだぞ〜と思いました。
レーネちゃんとみっけちゃん。本当に、この2人はとっても仲良しなんですね。2人の関係はちょっと羨ましくも感じました。
でも読後思ったのですが、料理人のばあやのたくらみ(みっけちゃんを食べてしまう)を知ったレーネちゃん。みっけちゃんに
「ずっと だいすき やくそくできる?そしたら あたしも ずっと だいすき」と聞きます。
みっけちゃんが 大好き。約束するよと答えると、レーネちゃんはばあやのたくらみを話してみっけちゃんを連れて逃げるのですが・・・。
もしそこで、「約束なんてできないよ」とみっけちゃんが言ったら、レーネちゃん、どうしていたのかなあ・・・。
グリムだからもしかして、じゃあ助けてあげない。みっけちゃんなんかいらない。なんて展開もあるかもしれないなあ、なんて思いました。
お話の本編よりなにより 何度もレーネちゃんの口から出てくる
「ずっと だいすき やくそくできる?そしたら あたしも ずっと だいすき」
の言葉が、とっても印象に残りました。
ちょっと怖いような・・・でもやっぱり可愛くて微笑ましいような・・・。そんな不思議な感じです。
ばあやから逃げるために、2人がいろんなものに姿、形を変えることができて楽しかったです。
ラストはばあやの死。しかもあひるの姿になったレーネちゃんにやられて・・・なので、考えれば考えるほど怖い気もしますが、
つつみあれいさんの可愛いイラストが、残虐な印象をだいぶマイルドにしていると思います。 (ぷうさんのはちみつさん 30代・ママ 男の子8歳)
|