ぼくとそっくりな、きみはだれ?ふかいもりのなかのふしぎなできごと そのこはふりかえると、いいました。「ぼく、アドロだよ。」かおもみみもそっくり、うりふたつ。アドロはおどろいていいました。「アドロはぼくだよ。」すると、もうひとりのアドロはすましていいました。「でも、ぼくもアドロなんだ。」(本文より) さあ、たいへん。弟のトトは、どっちのアドロを選ぶのでしょうか?
弟の面倒も見なくてはいけないけれど、お友達とも遊びたい。私も長女だったからこの気持ち、よくわかります。結局妹と一緒に私の友達と遊んでいたっけ。とっても大切な存在なのに、いつも一緒にいるとそれがわからないことってありますよね。
このアドロもそう。弟のトトが邪魔くさいなぁと思うこともしばしば。けれど、いざ自分とそっくりのもう一人のアドロが現れて、弟のトトがついていってしまったら・・・。
もう一人のアドロの本当の正体は、なんとちょうちょう。お花畑にたくさんのちょうちょうが舞いながら、ふきちらされるように消えてしまうシーンはなんとも幻想的。ラストのページであわいオレンジ色にそまった夕暮れを帰っていく二人の姿、ほのぼのとしてあたたかい印象を受けます。兄弟だけに限らず、大切な人との関係を忘れそうになったとき、読んでほしい一冊です。 (はんぶん×ずっこさん -・絵本紹介サイト )
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