戦争に行って、長い間、家にいなかった父。「父さん」と気軽に呼びかけることさえできない娘。そんなふたりはいっしょにカラス狩りに出かけます。娘リズはカラスを呼ぶカラス笛をもって。そして父は銃を持って――。二度、ニューベリー賞を受賞した作家ロイス・ローリーが、多感な少女時代の自分と父との思い出を描きだしています。カラスが群れる荒涼とした丘、落ち葉が重なる深い秋の山を背景に、微妙な心の動きを見事に描く秀作絵本です。
美しい絵に魅かれて手に取りました。
やわらかなタッチで描かれている人物の表情が繊細で、生き生きと表現されています。
長い間戦争に行っていた父との間に出来てしまった距離感が、父と娘の二人だけで出かけたカラス狩りの一日の中で少しづつ埋まっていく様子がつづられています。
初めはどこか緊張しているかのような少女の表情が、お話が進むにつれて生き生きと笑顔を取り戻していきます。
作者の実際の体験をもとに描かれた世界には大げさなドラマはなく、ゆるやかに進んでいきますが、読み終えた後に温かいものが残りました。 (みのきっちゃん。さん 40代・ママ 女の子15歳、女の子12歳、女の子9歳)
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