よるになりました。おとうさんたちがかえってきますよ。 さかなのおとうさんは、さらさらながれる川をおよいで、、 てんとうむしのおとうさんは、ぶーんととんで......。 いちにちのおわりの、お父さんたちが子どもたちのところへ帰ってくる うれしさが、リズミカルであたたかな言葉でつむがれています。
マーガレット・ワイズ・ブラウンは、42歳の若さで1952年に亡くなったのですが、実に100冊以上を世に残しています。
さらに凄いのは、70以上もの未出版の原稿が残されていたこと。
彼女の姉妹、Roberta Brown Rauchが売ろうとして上手くいかず、杉のトランクに何十年もしまっておいたのですが、1991年ウォーターマーク社のエイミー・グレイが500枚以上のタイプ原稿を再発見し、これらの出版にとりかかったとされています。
今回の作品は、文は、2010By Roberta Brown Rauchとあり、生前に発刊されたものではないようです。
驚いたのは、絵を描いたスティーブン・サヴェッジ。
1965年生まれとあり、この文に合わせて絵を描いたものと思われますが、実に文章とその時代にマッチングしています。
リノリウム版画を使った独特の作風で、ニューヨークタイムズ紙、ニューズウィーク誌へのイラスト提供や、絵本制作など、様々なジャンルで活躍とありましたが、木版にない粗さが魅力的です。
しかも、その色合いが絶品。
どのページも主体と背景がこの上ない纏まりを見せていて、しかも、色調が全く違うのです。
物語は、
「よるになりました。
おとうさんたちが かえってきますよ」
という文章で始まります。
色々な生物のおとうさんが帰ってくるエピソードが繰り返されるのですが、マーガレット・ワイズ・ブラウンらしいリズミカルなもの。
読み聞かせに相応しい作品と言えるでしょう。
最後のスティーヴン・サヴェッジの
「私を父親してくれた妻のステファニーと娘のクロエに」
という言葉も素敵で、非常に高い水準の絵本としてオススメします。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
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