お寝坊さんもにやり。アメリカ生まれのコミカルな絵本。
バングルス先生が朝寝坊。「学校の先生が遅刻なんて!」 先生はあわてて家を飛び出しました。でも、車はガス欠、 電車は行ってしまうし、バスは満員。気球に乗ったら空 気が漏れて、ひゃあ大変! 急いで走るバングルス先生。学校に間に合ったかな?
カラフルで元気いっぱいのイラストには遊び心がいっぱい。 随所に描かれた時計が刻々と迫る臨場感を演出しています。
2008年のアメリカの作品。
表紙からして、ポップなアメリカンテイストの絵なので、いやがうえにも期待は高まります。
でも、絵は吉川祥子さんとあり、日本の方。
どういうきっかけで、このコラボなのかと思ったら、吉川さんは1988年に渡米。
サンフランシスコのカレッジでアートを学んだ後、ウガンダを経てご主人と再度アメリカ・オレゴンに戻り、アメリカ各地を転々としているとのことですから、このテイストになったというのも頷ける経歴です。
それにしても、玉川大学では写真を専攻し、ペンタックスに就職、その後3年間にわたる勤務の間に国画展などで3回ほど入選もしたのに、「写真は自分のメディアではない、やはりアート全体を勉強したい」と、サンフランシスコに留学したというのですから、その活力は相当なもの。
物語は、主人公のバングルさんが、寝坊するシーンから始まります。
バングルさんは、学校の先生で普段から遅刻は絶対しないようにと言っているのですから、遅刻は許されません。
それから、いろんな交通手段にチャレンジするのですが、事ごとく失敗。
その動きの速さは、特筆もの。
スリリングな展開は、実に楽しいもので、見る者を魅了するに違いありません。
そして、最後の交通手段は、自分の足。
ウィットに富んだエンディングも中々のものだと思います。
吉川さんのコメントで、「アメリカ人の描くイラストを見ると血が騒ぎます」とありましたが、どうして、既にもうアメリカテイストそのもの。
その明るくポップな楽しい絵はたまりません。
必ず、時計があって時間を刻々と伝える小技もあって、完成度の高い作品です。
絵にあわせスピードを変えて読み聞かせすると、効果抜群だと思います。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
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