戦乱のバグダッドを去った15歳のアブドゥルは、フランス、カレーの移民キャンプ「ジャングル」からイギリスへ向かおうとする…。なぜ、命がけでドーバー海峡を渡るのか。不法移民となった若者たちを描いた物語。
つい最近まで、日本はとても安全な国だと思っていました。
3月の震災を経て、地震や津波・原発のある日本も安全とは言い切れないということを思うようになりました。
デボラ・ハリスの本はこれまで二冊読みましたが、どれも困難な場所に住む子どもたちの過酷な現状を描いていました。
この作品の中に出てくる少年少女たちは移民です。
フランスの移民街から新天地を求めてイギリスにボートで渡るのです。
それは決して簡単なものではなく命がけなのです。
その前にも命からがらで自国を脱出した少年たち。
おかれていた状況が次々と明らかにされますが、どれも過酷で非情なものなのです。
島国の日本ではあまり知りえない大陸ならではの、それぞれの国の事情も垣間見えます。
震災は私たちが持っていた価値観を変えていくものだったと思います。
非常時に国も行政も助けてくれることはない、自分の身を守るのは自分のみであることを痛切に感じました。
今後、私たちも含めて大人はどう生きていくのか、子どもに何を伝えていくのか。
大切なことは命であることにかわりはないと思いますが、何があっても生き延びること、自分の心を強く持つこと、そんなことを思うのです。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
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