「死」をテーマにしたこの作品は、1998年のドイツ児童文学賞を受賞。力強いタッチの絵が印象的なドイツの絵本。
初めて『死』というものを、それも大好きなおじいちゃんの死を体験する小さな男の子ブルーノのお話です。まだ、死と言うものが分からず、そのまま葬式に参列し、色々な人に疑問をぶつけていきます。でも、日々がたつにつれ、死とはどういうものかを知り悲しみを感じ、そして日常へ戻っていく話を、ブルーのの視点で描いてあり、とてもナチュラルでとても胸が打たれました。
他の人のレビューでは、外国との差があってピンとこないと書いている人が多くて意外でしたが、私にはむしろ死とは共通であって、違和感はありませんでした。押しつけがましい所がなく、淡々と、でもちょっとユーモアも混ぜて描かれているところが素晴らしいです。
特に、
「お空には、いくつたましいが入れるの?」
あるときブルーノは聞きました。
「心配しなくていいよ。おまえの場所はあるから」
お父さんがわらいました。
「だけどお空がいっぱいになっちゃったらどうなるの?」
お父さんはしばらく考えました。
「たましいはまた、あたらしい体をもらって地上にもどってくる、って
考えている人もいるよ」
クリスチャンだろう人がこういうことをサラっと書いているのも、とてもいいなと思いました。
色々な人生のエッセンスとなる言葉が優しく描かれていて、でも決して押しつけがましくなく、静かにだけれど心を揺さぶれる本でした。お気に入りの1冊になりました。 (汐見台3丁目さん 40代・ママ )
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