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東京を焼け野原と化した大空襲。生きのこったのは…。戦争をにくみ、強く平和を願う作家と画家が生みだした迫力ある大型絵本。
なんとも救いようのない哀しいお話です。
昌男の家の軒下に住み着いた野良猫の「稲妻」とその子どもたち。
稲妻一家の生きる姿を通して子を思う親の気持ち、家族愛が伝わってくるのですが、それを戦争の悲惨さがこれ以上ない重苦しさと緊張感で包んでしまいました。
大空襲に見舞われた昌男の家族。
火の手から必死に逃げる姿と家族を思う心。
生きる望みが一つ一つ打ち砕かれていきます。
まさに地獄です。
畳みかけるような地獄の様の中で、昌男と母親は離ればなれになってしまいます。
川に逃げ込んだものの次々と息絶えていく人々。
その中で生き残りながら稲妻一家を岸に上がらせると力尽きて死んでいった昌男。
逃げ場を失いながら、子どもを守ろうとした母親。
最後まで期待したのだけれど、誰も助からなかった。
生き残ったのは猫たちだけ。
たくましさと悲惨さの中で、稲妻は生き続けなければいけません。
見ているものにとって、これ以上の衝撃はないのではないでしょうか。
戦争の悲惨さと平和を訴え続ける早乙女さん。
実体験を通して稲妻一家の中に早乙女さんがいるのではないでしょうか。
そして、激しいタッチの絵で見るものを圧倒する田島さん。
いつまでも大事にしていきたい絵本です。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子13歳)
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