『バッタさんのきせつ』は、1930年に完成し、刊行当初より高い評価を得て「年間でもっとも美しい絵本50冊選」に選ばれているそうです。日本では初めての翻訳出版です。
作者はスイス生まれの詩人画家、クライドルフ。小さな生き物の世界を愛し、草や花、虫や動物達を愛情あふれるまなざしで見つめ、ユーモアたっぷりの絵本を生み出してきました。 2012年、日本で大々的にクライドルフの展覧会が開催され、たくさんの原画が初公開となりました。改めてその魅力に注目が集まっています。
クライドルフの描く植物や虫たちには、擬人化されているものが多いのですが、絵本によく登場する可愛らしいキャラクター達とはちょっと違います。草花も、虫たちも「人間」に寄ることはなく、そのままの声を聞きだしてくれているかのよう。実際に耳を近づけてみれば、確かにこんな事をおしゃべりしているのではないかと思わせてくれるのです。それは、確かな観察力に裏づけされているものなのでしょう。特にバッタは繰り返しスケッチされており、絵本にもよく登場してきます。
その集大成ともいえるこの作品。 生態を忠実に再現しているようで、でもなぜか愛嬌のあるバッタがたくさん登場します。一匹一匹の性格まで見えてくるようです。 内容は、それぞれ1枚の絵で完結されています。「ボーリングを楽しむバッタ」であったり、「嵐の中のバッタ」であったり、「秋のおまつりを行うバッタ」であったり。そこから様々なストーリーを感じ取ることができるものです。それらの想像力を手助けしてくれるように、詩がそっと添えられています。そして、それらの絵を続けて見ていくことにより、季節の移り変わりを感じとることができます。
大人はどこまでも繊細に美しく描かれているバッタさんのいる風景とユーモアを、子どもはまるでそこにいるかの様なバッタさんたちのいる世界をじっくり、ゆっくり、気が向いた時にいつでも眺めてほしい一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
スイス生まれのエルンスト・クライドルフはヨーロッパを代表する絵本作家のひとりで、 いまも読みつがれています。 そのクライドルフが草や花、虫や動物たちを愛情あふれるまなざしで見つめ、ユーモア あふれる絵本を描きました。
さすが”美しい絵本”に選ばれただけあります。
子どものようにピュアな目線で描かれているバッタと自然の美しさにすっかり魅了されました。
詩も素敵で、部屋に飾って眺めています。
胸の奥がきゅんとする、素敵な絵本に出会えました♪ (pi2さん 30代・ママ )
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