日照りが続き大かんばつに襲われようとしている村を、体を張って見事に救ったかえる。 大恩人であるかえるは、村人にとってヒーローだったのか。 ・・・物語は、簡単にハッピーエンドにはならないようです。
かえるがその村にやってきたのは一年前。 長い長い旅を終えて、村はずれにある沼地に着いたのです。 その静けさと風景の美しさがすっかり気に入っていたかえる。 ところが、村人たちには歓迎されていない様子。 「あのよそもの。ぬるぬるしていて、どうも気持ち悪い」 「さっさとどこかへいってくれないかな」
そこに届いた父からの手紙により、村人たちよりも早くこの村の危機を知るかえる。 ここでかえるは何を思うのか。 「ざまあみろだ!」 受け入れてくれなかった村人たちへの怒りを表すのかもしれない。 「もし、おれの雨乞いの歌で、日照りから救うことができたなら・・・」 全く違う考えが生まれてくるのかもしれない。
もし自分が同じ立場だったなら。 もし自分が村人の立場だったなら。
答えは一つではないのでしょう。 そして、誰かが正解を教えてくれるわけでもないのでしょう。 かえるの表情からは、本当の感情をなかなか読み解くことのできないこの絵本。 いつもは底抜けに明るく笑える話を得意とする絵本作家サトシンさんが投げかけてきたテーマとは何なのか。 難しいようだけど、子どもたちにはきっと考える力があるにちがいない。 作者のそんな想いも見え隠れするようです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
村はずれの、沼地ほとりに棲みついた一匹のかえる。 しかし、村人たちからは「気持ち悪いよそ者がえる」として、嫌われていた。 やがて、村が大かんばつに襲われると知ったかえるは、思った。 「まもなく、田畑は乾き、井戸は枯れ、村じゅう、死に絶えてしまうことだろう。ざまあみろだ!」 しかし、かえるはこうも思った。 「だけど、もし、おれの雨乞いの歌で、日照りから村を救うことができたなら……」
ある村に住み着いたかえるは、そのきみの悪さから村人たちに全く受け入れられていない。村人には馴染めない。
そしてその村では日照りが続き・・・
「もしかしたら、自分の雨乞いの歌で雨を降らせることができるかも・・・村をすくうことができるのかも・・・」
自分のことを嫌い村から追い出そうとまでする村人のために、命を掛けて雨乞いの歌を歌い続けるかえる。
なぜそこまで?
そして今の自分は?
今の社会は?
読んだ人それぞれにいろんな思いが起こる・・・いろんな世代の人の心に響く絵本です。
何度読んでも涙が止まりません。
でも、何度も読んで、その答えを見つけたいと思います。 (yossssy0601さん 40代・ママ 女の子15歳、女の子12歳)
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