関西弁のセリフが絶妙な創作童話。
書いた村上しいこさんは三重県出身の童話作家。
この人の経歴がいい。
三重の松阪でご主人と小料理屋さんを始めたのですが、これがさっぱり。仕方なく店はたたんで、ご自身はパートに出ることに。
子どもに読んで聞かせる童話を書きためて、あるコンクールに応募して、それが入賞。
なので、もし小料理屋さんがうまくいってたら、童話作家誕生にはならなかったはず。
なんといっても、子どもに読み聞かせるつまりで書き始めたのがいい。
子どもが喜ぶツボがわかっている。
この作品にしても、ランドセルが突然話し出して、ぼくと一緒に学校の遠足に行きたいというとんでもない話だが、子どもならスッと話に入っていけるのではないだろうか。
何より、その前のおとうちゃんの駄々が効いている。
大のおとなが子どもと一緒に遠足に行きたいと泣いているのだから。
こういうおとながいるとしたら、話せるランドセルがあっても、不思議ではない。
こういうたまげた話に関西弁がよく合う。
ランドセルに負けまいと抗うおとうちゃんにおかあちゃんがいうセリフ、「なにを いつまで、ごちゃごちゃ いうてんの。」、迫力がある。
ランドセルが意外に知恵があるのも面白い設定で、その知恵が子どもたちのピンチを救うことになる。
そんなオモロイ話に合うとしたら、やっぱり大阪出身の長谷川義史さんしかいない。
長谷川さんのさし絵で、この童話が余計にパワーアップしたのは間違いない。