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カラス笛を吹いた日」 みんなの声

カラス笛を吹いた日 作:ロイス・ローリー
絵:バグラム・イバトゥーリン
訳:島 式子 島 玲子
出版社:BL出版 BL出版の特集ページがあります!
税込価格:\1,650
発行日:2010年11月
ISBN:9784776404330
評価スコア 4.33
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みんなの声 総数 8
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  • 父親の愛情表現がステキです。

    美しい絵に魅かれて手に取りました。
    やわらかなタッチで描かれている人物の表情が繊細で、生き生きと表現されています。

    長い間戦争に行っていた父との間に出来てしまった距離感が、父と娘の二人だけで出かけたカラス狩りの一日の中で少しづつ埋まっていく様子がつづられています。
    初めはどこか緊張しているかのような少女の表情が、お話が進むにつれて生き生きと笑顔を取り戻していきます。
    作者の実際の体験をもとに描かれた世界には大げさなドラマはなく、ゆるやかに進んでいきますが、読み終えた後に温かいものが残りました。

    投稿日:2011/02/18

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    1
  • 親子が理解し合うことを考えさせられます

    • ジュンイチさん
    • 40代
    • パパ
    • 東京都
    • 男の子12歳、男の子6歳

    作者ロイス・ローリーの1945年の実話。
    最終ページにローリー・ロイスの写真があります。
    物語に登場するのと同じダボシャツを着ていますが、そこにこう書かれています。

    「この物語はすべて事実にもとづいています。
     これは1945年、わたしと父の間にほんとうにあった出来事です。
     親と子どもはおたがいを理解するために手さぐりで生きていくものです。
     それはだれでもそうです。
     ですから、この物語はわたしだけではなく、みんなのおはなしでもあるのです」
    この言葉は、今、単身赴任していて、子ども達と離れて暮らしている自分にとって心の琴線に触れるものでした。

    物語の時代背景は、1945年。
    父は、第二次世界大戦に出陣していたので、長い間、家を離れていました。
    そんなある日、父とロージーはカラス狩りに出かけます。
    多感な時代を離れ離れに長いこと暮らしたと言う事実は、厳然たるもので、狩りに行く途中の車中、食堂での食事、狩猟地までの徒歩の間、二人の間には、微妙な距離があるのです。

    そんなロージーの心情が痛いほど伝わってくる文面に、思わず惹きこまれてしまいました。
    カラス狩りでのロージーの役目は、カラス笛をふくこと。
    カラス笛に反応して集まったカラスを、父が発砲するというのが役割分担だったのですが、父は発砲することなく帰途につくのです。

    ロージーが銃を怖がっていたことを察知したからなのか、カラスに親しみを持って接したことを大切に思ったのか、様々な理由で発砲しなかったのだと思いますが、そんな父の気持ちをロージーは心から受けとめるのです。

    些細なことであっても、子どもにとってみれば、凄く大事なことって沢山あるはず。
    それに気づかないと、上辺だけの親子関係に終わってしまうのでしょう。

    この絵本は、間違いなく大人向けです。
    それも、母向けではなく、父向けの絵本であって、是非、世の父が噛み締めて読んで欲しいものだと思います。

    投稿日:2010/12/23

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    1
  • 遠回しの反戦絵本

    セピア色のトーンで描かれたこのお話は、まるで昔の映画を見ているよ

    う。

    戦争のために、離れ離れになっていた父と娘の気持ちが、会話と行動

    によって、徐々に歩み寄っていく様が、丁寧に描かれています。

    戦争という重い背景があったからこそ、つかの間の、忘れがたい記憶とし

    て、鮮やかに心に残ったのでしょう。

    そしてその強い思いが、この本を誕生させたのだと思います。

    父親が、娘に正直に向き合って、本心で会話しているところや、さりげ

    なく気持ちに寄り添ってくれるところが、あたたかな感動を誘います。

    直截的ではないですが、静かな反戦絵本ではないでしょうか。

    投稿日:2015/01/28

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    0
  • 素敵なお父さん

    • おるがんさん
    • 40代
    • ママ
    • 高知県
    • 女の子、男の子

    図書館で表紙の絵にひかれて借りました。

    作者とお父さんとの思い出の一日をそのまま切り取って絵本にしてあるので、すっと心にしみ込んできます。
    長い間、戦争に行って帰って来たお父さんとの関係に緊張を持っている娘(作者)の気持ちを敏感に感じているお父さん。
    娘の緊張をほぐすように、娘の望んでいる対応を大袈裟ではなく、さりげなくやってくれます。

    畑を荒らすカラスにさえ、家族があり命があるのだと、退治をすることに心を痛める娘。
    ハンターと言う言葉におびえる娘。
    お父さんの持っている銃に、恐ろしい戦争を感じている娘。
    その娘の前で、銃を使わなかったお父さんの愛情がじわじわと心にしみます。

    小学生では難しい絵本だと思います。
    カラス笛の用途の説明があったらよかったです。
    大人が読み聞かせをするより、中学以上の子どもたちに自分でゆっくりと読んでもらいたいです。

    投稿日:2011/12/14

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  • 素晴らしい父親像

    戦争で長い間不在だった父親と狩りに出かける少女の実話物語です。
    言葉がなくても父と娘が会話できているのが素晴らしいと思います。
    それだけ心が通い合っているのです。
    しかし、話の奥には大きな問題指摘があります。
    戦争を経験してきた父親は、戦争の怖さを感じなくなったことを娘に語ります。
    その父親が、「ハンター」として畑を荒らすカラスを退治しようというのです。
    カラスにも子育てのような事情があるのではないかと娘は思います。
    父親は、子育ての時期は終わって、もう子どもだとわからなくなっている時期だと諭します。
    父と娘の中に、「戦う者」と「戦いたくない者」の構図が浮かび上がります。
    娘は父親の大好きなのだけれど、「ハンター」としての父が少し怖いのです。

    丘でカラス笛を吹いてカラスと戯れる娘の姿は圧巻です。
    そして、その娘を見て父親は鉄砲を使いませんでした。
    娘の気持ちが判ったからです。
    解説的な文章を排して、心の微妙な揺れ動き、心のやり取りを表現しているので、見ている側も画面から呑みこまれてしまいます。
    透明感のある映像のような絵、人物描写がとてもリアルでソフトで、映画を見ているような感じになりました。
    父親にお薦めの1冊です。

    投稿日:2011/04/07

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  • 写実的な素敵な絵に感動!

    • てんぐざるさん
    • 40代
    • ママ
    • 埼玉県
    • 女の子15歳、女の子11歳

    作者はハワイ生まれの児童文学作家だそうです。
    この絵本は、作者の子どもの頃の思い出をもとにつくられた本当のお話なんですって。

    最後に主人公の小さかったころの写真がモノクロでのっているのですが、絵本に描かれている主人公のリズにそっくり!
    イラストを描かれたバグラム・イバトゥーリンさんは、
    かなり写実主義な絵で、絵だと分かっていても「これは絵だよね〜?」と、目を凝らしてしまうページも多かったです。

    他の方も感想で書かれているように、内容は父と娘の暖かな交流をじっくりみせてくれるものなので、お子さんに読んであげるなら、読み手はお父さんにお願いしたいです。

    投稿日:2011/04/01

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  • 微妙な感情の違い

     感受性の強い年頃のリズが感じていることと、大人のお父さん。微妙な感情が繊細に描かれています。
     写真のように見える絵から、二人の気持ちが伝わってきます。
     
     「私はときどき怖いの」というリズ。
     「人間もわざとじゃないけど、悪いことをしていまう」というお父さんの言葉が印象に残りました。
     天敵のカラスを傷つけずに、森に返したリズの笑顔がすがすがしいです。

     カラス笛がどんなものか、吹いてみたいなと、子どもが言っていました。あまり気持ちがいい音ではないようですが。

    投稿日:2011/03/16

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  • 静かに心にしみてくる世界

    あとがきを読むと、作者・ロイス・ローリーの少女時代の思い出が描かれているようです。

    静かに心にしみてくる世界、父と娘、詩情豊かに描かれているところ、二人で出かけるところなど

    どこか

    『月夜のみみずく』に通じる世界を感じました。

    どこかへ旅行へ行ったり、テーマパークで過ごすという休日もありますが、

    子ども時代の思い出として心に刻まれるのは、親子で過ごした何でもない時間なのかもしれません。

    絵もとても美しく『おとうさんの庭』や『ゆきのまちかど』を描かれているそうです。

    静かだけれど味わい深い作品で、この作品の味わいがわかってくるのは何歳ぐらいでしょうか。

    大人が一人眺めてみても良い作品だと思います。

    投稿日:2011/03/01

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