てぶくろの家族たちが寝静まった夜、てぶくろくろすけはもう片一方を放って、一人でそっと家を抜け出しました。
てぶくろくろすけは偶然「てぶくろこどもこうえん」にたどりつきます。そこではたくさんのてぶくろのこどもたちがそれぞれペアで遊んでいます。
てぶくろくろすけは遊びに入れてもらおうとしますが、片一方のてぶくろなんて遊んでやらないと断られ、みんなにひっぱられたり、おしくらまんじゅうされたりして、てぶくろくろすけの体はのびのび。
家に帰って、おとうさんてぶくろとあかあさんてぶくろに叱られてから編み直してもらって元の姿に戻ることが出来ました。
そしてひとこと、もう片方のてぶくろに「今度は一緒にいこうね」とささやくのでした。
反省が足りませんね。てぶくろくろすけは。
読んでいてなんだかおかしくなってしまいました。
また、公園にいたてぶくろたちも、片一方で来たからって遊びに入れてあげなかったり、ひっぱったりして、ちょっとひどいなぁと思ってしまいました。
でも、きっとこれは、家族にナイショで勝手なことするからバチがあたった、というお話なんでしょうね。と私は納得しようとしたのですが、それなのに、ちっとも反省の色が見えない終わり方だから、なんだかおかしいのです。
でも、てぶくろが家族で暮らしている発想は面白いし、公園がある、つまりてぶくろの住む文化があるというのも愉快です。
また、こんなふうに、いたずらして叱られて、でも懲りないっていういたずらっ子、現実にもいますよね。
だから楽しいのかもしれません。
こどものとも203号(1973)。
絵本化にされたのは、こどものとも社 特選ライブラリー(2004年1月配布本)でのみのようなので、市販はされていないようです。
でも、絵は長新太さんで、赤と緑と黒のみの印象的なものです。
図書館などで見かけても目につきやすいと思います。