タイトルからは全く想像していませんでしたが、この物語は、もし「原子力発電所」に事故が起きたとしたら……。という、前提で書かれていました。
出だしはいつものたつみやさんの物語っぽく、主人公の少年がその時の自分がどうして“ここにいるのか”を語ってくれています。
読みだすと、インパクトのある始まり方でぐいぐい引き込まれていきます。
初っ端からかえるを自転車で轢いちゃうなんて、わぁ、ついてない子だわ。でもこれで村の神様とか出てくるのかしら。なんて思っていたら、案の定、「家神(座敷童・座敷ぼっこ)」が登場したのですが、主人公のマサミチが慕っている父親の会社の“スイッチョさん(須賀さん)”が出てくるあたりから物語の流れが変わっていきます。
この作品が出たのは、1993年ですが、
1995年に「もんじゅ」でナトリウム漏洩火災事故。
1997年に動燃東海事務所火災爆発事故。
1999年に志賀原子力発電所1号機臨界事故。と続き、
2011年には、東北大震災により、福島原子発電所第1、第2共に起きてはならない大事故が起こってしまいました。
この物語の中でも、会社の損失や、自分の立場ばかり考えて、本当に大事な決断をしなければならないとき、それがができない大人が出てきます。
でも、これを読んだ子どもたちには、そんな大人にはならないでほしいと願います。
読みやすいので、小学校4,5年生くらいからお薦めしたい作品です。