チェルノブイリの事故後、西ドイツの原子力発電所で事故が起きたという想定で描かれた児童向けの近未来小説だそうです。
しかも、チェルノブイリ以上の被害が出たという想定です。
私はチェルノブイリの事故でヨーロッパ全土が汚染されて汚染された食品が多く出たことは知らなかったのですが、
『ベルリンからの手紙』(八月書館)を読んで、チェルノブイリ事故の時にドイツ政府が情報を隠蔽し、また牛乳を濃縮させた乳清の汚染を隠すために第三国へ秘密裏に売ろうとしたのが発覚したということを知りました。
そういう前提があるせいなのか、この小説には想像だけではない、チェルノブイリ事故後のドイツ政府の対応ぶりを経験したということが大きく反映されているような気がしました。
14歳の少女・ヤンナ−ベルタは、学校にいる時に、事故のニュースを知ります。
家に帰り、小学二年の弟と非難すべきか家に留まるべきかを考えます。運の悪いことに両親とも留守だったのです。
ヤンナ−ベルタに次々に襲いかかる苦難は、親として読むには辛すぎる内容でした。
どの個所もこれが自分の子どもの身に起きたらと考えると背筋が寒くなりました。
まだ、島原発の事故処理は収束を迎えてはいませんが、もし今福島以外の原発で大事故が起きたら、難民になるという想像を想起させます。
原発事故を前にしては、ただ逃げることしかないというのが本を読んで思ったことです。
ドイツでは映画にもあり、ティーンエイジャーにも広く読まれたそうです。
私は今までに原発に関して何の知識もありませんでしたが、子どもを守るために、怖くても原発に関する正しい知識を持ちたいと思っています。