作者の向田さんはNPO法人鎌倉広町の森市民協議会理事でもあり、日本ならではの四季折々・自然にかかわる出来事を絵本にしたりしている方だそうです。
この絵本はタイトルのまんま田んぼのいちねんの様子を描いた作品ですが、記録映画みたいな作りで、一台のカメラがずっと一つの場所から主役である田んぼを見ているという面白い作りになっています。
1月から始まって、月が替わるごとに周りの風景や人々の動き、飛んでくる鳥や虫なども変化していきます。
それをとても上手に画面に収めてくれていて、
例えば3月なら、春に咲き始める花や飛んでくる蝶にスポットを当ててその名称なども記載してくれていますし、
10月なら刈り取られた田んぼの周りにやってくる色々なトンボが描かれていました。
そのスポットの当て方が見事で、「あぁ!」と、納得できるその月ならではの自然界のモノたちが描かれていました。
それ以外にも田んぼの周りで生活している人、通り過ぎる人たちの様子も各月で違いがあって、1年間よく観察されたのだなぁと、思いました。
本文のところに文字は比較的少なめで最後に、細かい解説も載っているので、本文のところだけを読み聞かせで読むというのも出来そうです。
「もっと詳しく知りたい人は、後ろの解説を読んでね」といえば興味のある子は手を出してくれると思います。
また、ブックトークなどで、テーマにあった月のページを紹介するのもいいかもしれません。
とっても素敵な絵本でした。