中一の教室で読み聞かせしました。
妙に不思議で、とても印象が強い作品です。
病に伏した母親のために、ポールは浜で出会った死神を叩いて、叩いて、叩いて…、握りつぶして、黒グルミの中に閉じ込めて、海に放り投げます。
このポールの強さは何でしょうか?
いろんな意見がありそうですが、自分は「無心」という言葉があてはまるような気がします。
あれほど怖い死神も少年の無心の行動には太刀打ちできなかったのです。
しかし、死神を封印するということは、命の流れを止めてしまうことでした。
この世の中の何一つ息絶えることが亡くなったのですが、それは自然の営みを壊すことでした。
考えると、私たちは多くの「死」に命を支えられているのです。
お母さんは、自分が死から逃れたことよりも、生死の流れを止めてしまったポールを諭します。
お母さんの表情、ポールの表情がこの絵本の中で、とても印象的でした。
自分の死を受け入れようとする母親。
この感覚にはとても立てないのですが、ポールが死神を探し出して解放するところはさらにとても印象的。
母親を死を認めることですから。
お話は単純にそのようには終わらないのですが、多くの示唆に満ちています。
仲間たちと読みあわせた中で、この絵本の絵の不思議さを感じました。
近くで見ているよりも、読み聞かせで離れたところから見ると、地味のようでくっきりと浮かんでくるのでした。
何か、貼りあわせたような絵。
セゴヴィア自身がこの物語を自分の解釈で表現しているのだと思いました。
読み聞かせ、誰かに読んでもらうことでこの絵本の良さがさらに感じられると思います。