アパートに住んでいた小さい頃(大人になた今でもマンションと名まえだけ変わった家に住んでいますが)、犬が欲しくてたまりませんでした。もちろん公営団地では犬や猫を飼うことは許されていませんでした。ですから、犬やネコを飼っている友だちがとてもうらやましく思っていたのを今でも覚えています。
朽木さん(女性だったのですね。今までずっと男性だと思っていました。ごめんなさい。)は、動物と人間との関わりを描くのがとても上手な人です。今回の『ぼくのネコにはウサギのしっぽ』には、ネコのお話が1つ、犬のお話が2つ収められています。どのお話も飼い主と動物たちの心が次第に近づき、通っていく様子が描かれています。
私がこの本を小さい頃に読んでいたら、もしかしたら動物を飼うことを躊躇したかもしれません。いや、もしかしたら、躊躇した結果、覚悟を決めて、やはり動物を飼うことにしたかもしれません。
ネコや犬の様子がとても詳しく書かれているとともに、彼らの習性はもちろん、一匹一匹が違う性格をもつ動物であるということがよくわかります。
この本を読むのは、小学3、4年生くらいでしょうか。私のようにネコや犬を飼いたくなる子どももいると思います。もし、この本がきっかけで動物を飼うことになったら、この本に出てくる主人公たちのように仲良くしてあげてくださいね。
片岡まみこさんの版画で描かれたネコや犬たちは、いつまでも読者の心に残るでしょう。素敵な版画です。