「おばけでんしゃ」などの作家の西村繁男さんの絵は、
郷愁を誘いますし、背景の描写の中にもドラマがあったり、
小さな発見があったりするので楽しいです。
また時代背景はいつ頃でしょうか?文房具屋の貼り紙に
“入学祝いに万年筆”とか、スーパーの軒先に赤い公衆電話が
あったりととても懐かしい感じがします。
ある朝家族でジョギングをすることになり、お宮さんまで行って
帰ってくるという競争を始めたのですが、スタートした途端
おじいちゃんは友達を見つけて立ち話しを始めれば、
お父さんは横っ腹が痛いと脱落し、お母さんはスーパーへ買い物に
行っちゃう始末‥と、順調にトップをひた走るお兄ちゃんがやっぱり
一番なのかと思いきや‥。
ストーリーはとても単純で、読み聞かせするはなからオチが
見えてきたので、息子には「今誰が一番前?」とか「一番ビリは誰?」
という具合に“紙芝居”風に掛け合いしながら読むことにしました。
息子は脱落していく家族の様子を見ながらも考えて考えて、
「うんとね‥おじいちゃん!!」と満面の笑みで答えます。
また後半の、お兄ちゃんが連発する「ずるいぞ!」は息子のツボに
はまったようです。
可哀想だけどお兄ちゃん、一人だけで満開の桜を満喫できたんだから
良しとしますか。
この本は大勢で読み聞かせするとより盛り上がるのでないでしょうか。