児童文学としてはあまりにも有名なこの作品が最初に刊行されたのは、1948年のアメリカです。
日本での出版は1963年ですから、そんなに早く翻訳された訳ではありません。
けれど、たちまち多くの子供たちに愛され、今では誰もが知っている名作になりました。
この作品は野良猫と親しくなったエルマーという9歳の男の子が、野良猫から遠くの島で捕らえられている竜のことを聞いて、一人で助けにいくという冒険物語。
そんなワクワクドキドキの物語を書いたのが、ルース・スタイルス・ガネットという女性だったのも驚きですが、書いた時彼女はまだ22歳だったというのもさらにびっくりします。
若い彼女がどうしてこんなにワクワクする物語が書けたのでしょうか。
それはもしかしたら原題と関係しているかもしれません。
この作品の原題は「MY FATHER’S DRAGON」。
「私のお父さんの竜」のお話なんです。
つまり、エルマーというのはお父さんの名前なんです。
娘にとって父親というのは、どんなに大変でもかわいそうな竜を助けにいくほど素敵な存在なのかもしれません。
それに、かわいい挿絵を描いたルース・クリスマン・ガネットというのは作者のスタイルスさんの義理の母親だというのもいい。
そういう裏話もいいのですが、一番いいのがやはりこの物語。
どうしてこの物語がいつまでも愛されているのか、その答えはエルマーが冒険に出る前に用意する色々な道具(それはキャンデイーだったり、チューインガムだったり結構どうでもいいようなものばかり)のせいかもしれません。