1926年島根県津和野町で生まれた安野光雄さんは、「旅の絵本」「もりのえほん」などで知られています。
この作品は、1976年に発刊され一時期絶版状態でしたが、2002年に新装版が発刊されたものです。
作者のことばに
「もし、影の国というものがあったら、どうでしょう。
本当にあったら一度は行ってみたいものだ、と思いながら、この絵本を作りました」とあります。
安野さんの作品には、こんなコメントがあることが多く、これを読むのも一つの楽しみとなっています。
物語は、左ページに「光の国」、右ページに「影の国」を描いていて同時進行していきます。
「光の国」では、マッチ売りの少女が登場します。
面白いのは、「影の国」に一人だけ色が付いた人がいること。
彼は、見張り番で、「光の国」と「影の国」を自由に行き来できる唯一の人間という設定です。
見張り番は、マッチ売りの少女が気になって、「光の国」に行ってマッチを買うのです。
それから、ある事件が起こり、マッチ売りの少女と見張り番は、「影の国」に逃げ込むという物語です。
「光の国」は、いつもながらの安野ワールドが展開、「影の国」は、黒の切り絵で、それぞれを見れば綺麗なもの。
でも、なかなかその設定は、子供では理解するのが難しいのではないでしょうか。
もう少し、「光の国」と「影の国」の接点が丁寧に描写してあると良かったと思います。