清水眞砂子さんの「妥協なく心から推せる本に出会えて幸せです」(あすなろ書房HPより)という言葉を読み「これはぜひ読まねば」と手に取りました。
ルイス・ミショーは、型にはまらず、自分の頭でものを考え、納得できないことには服従せず、やりたいことをやる、そんな人です。
「黒人はなぜ差別され、拒まれるのか?」「どうすれば現状を改善できるのか?」と考え続けた彼は、「黒人たちは自分たちのことを知る必要がある」そのためには「本を読み学ぶ必要がある」と思い至り、44才で「黒人が書いた黒人についての本」だけを売る書店を始めました。「黒人は本なんか読まない」と言われながらも、「ミショーの本屋」は次第に多くの人々に支持され、唯一無二の本屋として有名になっていきます。
情熱、行動力、信念、人を惹きつける魅力的な人柄・・・ルイスのそういうものが一つになってハーレムの中の本屋を作り上げ、そこから新しい風が世の中に吹いていきます。人々はここに集い、ここで学び、力をつけていきました。一人の本屋のおやじによって、たくさんの人の生き方が変わったと思います。
この本を読むと、ルイス・ミショーの熱い一途な生涯を知ることができます。また、人がより良く生きるために「本」が必要であること、求められる「書店」のありかた、ということについても示唆に富む本だと思います。