ラジコン飛行機を盗んだゾロリ一家は、逃亡中にお金持ちのお嬢様の乗る旅客機に潜入。無事脱出したが、飛行中に墜落し、雪山で遭難しかける話。
1994年刊行。昭和生まれの私は、1985年の航空機事故を連想した。当時、子どもだったのでテレビのニュースで盛んに騒いでいる印象と、少し時間が経ってからテレビタレントのお話や随筆などで「あの便に乗る予定だった」という話を知り、印象に残っている。
飛行機の墜落事故の後、生き残った人が墜落現場(山間部)から自力で脱出するドキュメント番組なども見た。現場は冬山で、積雪があり、山は絶壁で生還したのが奇跡のようだった。
そんな過酷な話には絶対にならないゾロリシリーズだから、安心してのんびり読める。
ゾロリのお父さんの話も出てきて、なかなか感動する場面もあり。この場面は、天空の城ラピュタを思い出させる。
作者が多方面にアンテナを張り、いろんなアイデアを出し、楽しい作品を作っていくのが尊い。
いろんな知恵を絞って、困難な状況を切り抜けていくゾロリたちだが、最後は「ラジコン飛行機を盗んだ」けしからん連中として報道されている。ああ、悪役の辛いところ。
普段の行いの積み重ねで、素晴らしい行いが消し飛んでしまったが、そんなことは一向に気にしない。さすが大物、ロングセラー。悪役の美学を感じる。