2011年に起きた東日本大震災を経験した母親が、最愛の息子の死を受け入れる過程で生まれた絵本。
一人の少年に鎮魂と平和への思いを託す。
2013年刊行。作者は津波で当時25歳の息子を亡くす。
その後に経験したさまざまな心身症、PTSD等を通し、生まれてきた言葉を紡いだのが本書だという。
本書は澄み切った美しい絵と、純粋無垢な言葉が印象に残る。
筆者が長い歳月をかけて、精製していった想いが、画家を通して結晶化したように感じられる。
短い言葉と、透明感のある素敵な絵の絵本。
誰でもページを開いて読める本ではあるが、内容をくみ取るのには覚悟がいる気がした。
筆者の純粋な思いを受け止められるだろうか。
ともあれ、本書を読んでも読まなくても「生きている」「活かされている」ことに、感謝しようと思った。
私にとっては読むのにちょっと勇気が要った絵本。