【内容】
バングラデシュ首都のダッカの近くに住んでいる6歳の少年、アシフと仲間たち。父と母とアシフと、いくつかの家族がまとまって一つの建物で共同生活している。小さな町なのでみんな知り合い。でも自転車を持っているのはアシフだけ。多くの子どもが小学校に行けない子もいる。1971年に誕生した新しい国での少年の生活を、生き生きとした写真で紹介する。
写真・文:石川直樹
【感想】
とにかく人が多い!らしい。世界でも人口密度が高くて有名だそうだ。写真から熱気と、人いきれが伝わってくる。
アシフの家は、部屋が一つしかないから、ベッドの上で何でもやる。長屋の中では比較的裕福な家庭らしく、自転車を持っている。使わない時は鳩小屋に大事にしまってある…みんなうらやましいので、その辺に置いておくと勝手に借りて行ってしまうのだろうか。共同生活だから、誰でも気軽に手伝い合って家事をやっていたり、ちいさい子の面倒をみたり、仕事を手伝ったりしている。人と人の関係が密で、垣根があまりないようで、みんな親戚みたいな感じだ。
アジアでも貧しい国だというが、確かに着ているものや使い込んだ道具類等を見ると、そうだと思うが、貧しいながらも温かい我が家、という雰囲気がある。私は経験したことはないが、昔の、長屋の暮らし(昭和30年代〜)や、落語の世界などの、ご近所づきあいの様子を思わせる。
この絵本の、後書きがまた素敵だった。アシフに出会い、お互いが言葉が分からないなりに、頑張って意思疎通をして、いろんな人に助けられながらようやく一冊の本ができあがった喜び。外国で、知らない人に写真を撮らせてもいいと言ってくれた優しいバングラデシュの人ののんきさや、好奇心も楽しい。撮影中のハプニングも満載。このあとどうなったのだろうか?!